1989 Fiscal Year Annual Research Report
チオニン生成蛍光反応を用いる硫黄の状態分析法の開発
Project/Area Number |
01540494
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西川 泰治 近畿大学, 理工学部化学科, 教授 (10088312)
|
Keywords | チオニン蛍光反応 / 硫黄の状態分析 / 有機物中の硫黄、窒素の定量 / 酸素フラスコ燃焼法による硫黄の定量 / 酸素フラスコ燃焼法による元素分析 |
Research Abstract |
1.チオニン生成反応を用いる各種金属硫化物の分離定量法を確立した。すなわち、酸可溶性金属硫化物は6maldm^<-3>の塩酸と共に加熱し、発生する硫化物イオンをアルカリ溶液に吸収してチオニン蛍光法〔山本善丈、梅田政裕、森重清利、西川泰治:分析化学、37、421(1988)〕で精度よく定量できることを明らかにした。酸難溶性の金属硫化物は金属鉄共存下で塩酸と共に加熱すると定量的に硫化物イオンが回収できる方法の状態分析法を確立するため、これら酸化態硫黄を還元して硫化物イオンとする還元法について検討した。その結果、還元剤としてHI-HCOOH-P)を用いると効率よく硫化物イオンとなり、チオニン蛍光法で定量できることを明らかにした。 2.有機物中の硫黄及び窒素を酸素フラスコ燃焼法で酸化態硫黄(SO_3)、酸化態窒素(NO_2)とし、H_2O_2吸収液に捕捉してSO_4^<2->、NO_3^-とし、上記チオニン蛍光反応で硫黄を、またブルシン吸光光度法で窒素を定量する方法を開発した。吸収液に捕捉されたNO_3^<1->はチオニン蛍光反応を阻害する。そこで吸収液で捕集したSO_4^<2->及びNO_3^<1->を弱塩茎型樹脂(Muromac WGR-2)を用い、陰イオン交換分離し、それぞれをチオニン蛍光法、ブルシン吸光光度法で定量する方法を検討した。本イオン交換分離条件は次の如くである。NO_3^<1->:0.2M-HCl溶液、SO_4^<2->:0.2M-NaOH溶液を溶離剤とし各々40cm^3で(【bounded integral】:5〜6mmxh:60mmカラム)流速:1cm^3/minで効率よく分離できた。またSO_4^<2->の還元態硫黄(S^<2->)への変換にはH_2S発生トラップ吸収法を用いた。本法を用いて含硫黄・窒素有機化合物を定量したところ、硫黄の回収率>85%(C.V:<3%)、窒素回収率>84%(CV:<4%)なる再現性のよい元素分析が可能となった。 今後、本法の原理を利用した自動分析装置の開発が期待される。
|
Research Products
(1 results)