1989 Fiscal Year Annual Research Report
^<18>Fのオフビ-ム反跳反応と標識合成への応用
Project/Area Number |
01540501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (60143038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 俊博 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (70143039)
石渡 喜一 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (50143037)
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 教授 (80134063)
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Keywords | ホットアトム / フッ素-18 / 反跳反応 / 標識化合物 / 安息香酸 / サイクロトロン |
Research Abstract |
^<18>Fの反跳反応を利用する新しい^<18>Fの標識化法を開発するための基礎的研究を行った。方法は,サイクロトロンからのビ-ム照射に伴う強い放射線分解作用を抑えるため、反応基質をコ-ティングした円筒状のアルミホイルを照射容器の内壁に挿入し、高純度ネオンガスを満たして重陽子を照射した。モデル反応基質とて安息香酸を選び、照射終了後^<2a>Ne(d,α)^<18>F反応による反跳^<18>F原子を捕捉したアルミホイルを照射容器から取出し、アセトニトリルでアルミホイルから安息香酸と共に^<18>F-反応生成物を回収した。実験パラメ-タとしてネオンガス圧力、安息香酸コ-ティング量、重陽子入射部位とアルミホイルとの距離を変えて^<18>Fの標識率を求めた。 ^<18>F-反応生成物として^<18>F-フルオロベンゼン及び^<18>Fフルオロ安息香酸が高速液体クロマトグラフィ分析で同定された。ネオン圧一定の下で安息香酸の量を変化させ、2.2mg/cm^2で^<18>Fの回収率が一定の約40%に達した。一方安息香酸量一定の下では、ネオン圧力を徐々に増加するとアセトニトリルに回収される^<18>Fの割合も増加し、20kg/cm^2で最高回収率となり^<18>F-フルオロ安息香酸と^<18>F-フルオロベンゼンの生成率は、各々7%と13%であった。これ以上のネオン圧では両者の生成率は逆に減少し、同様な効果が安息香酸をコ-ティングしたアルミホイルの内径を変化させることでも観測された。 タ-ゲットとして使用したネオンはエネルギ-モデレ-タとしても作用しその圧力やアルミホイル内径と^<18>F-標識生成物との関係から、生成した^<18>F-標識物は反跳^<18>F原子が充分にその余剰のエネルギ-を失う前に反応したホットアトム反応生成物であることを強く示唆した。本研究で得られた知見は、オフビ-ム反応による^<18>F-標識化合物の直接合成法の開発の可能性を示すものと考えられる。
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