1989 Fiscal Year Annual Research Report
F因子による大腸菌染色体DNAの分配と細胞分裂の調節ーgyrA遺伝子の役割
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01540532
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三木 健良 九州大学, 薬学部, 助教授 (40037586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 忠郎 九州大学, 薬学部, 教授 (10037567)
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Keywords | 大腸菌 / 細胞周期 / DNA複製 / DNA分配 / F因子 / letD遺伝子 / DNAジャイレ-ス |
Research Abstract |
細胞周期の諸過程の内、DNA複製終了からDNA分配、細胞分裂開始に至る過程を分子レベルで明らかにすることを目的として行った。F^+大腸菌において染色体DNAの分配と細胞分裂開始は、染色体DNAのみならずF因子のDNA複製にも共役しており、この共役はF因子上に存在し染色体DNAの分配と細胞分裂の抑制活性を持つletD遺伝子と、letD遺伝子産物の機能を抑え細胞分裂を誘導するletA遺伝子によって行われている(Miki et al.,J.Mol.Biol.174,605(1984);ibid,174,627(1974))。DNAジャイレ-スのサブユニットAがLetD蛋白質の標的ではないかとの遺伝学的結果(発表準備中)に基づき、これを生化学レベルで検討することを試みた。 もし、DNAジャイレ-スのAサブユニットがLetD蛋白質の標的(直接の、あるいは最終的な)であるならば、F因子DNA複製を停止させる、あるいはLetD蛋白質をLetA蛋白質に対し過剰に発現させる等の方法により宿主の細胞分裂を抑制した場合、大腸菌抽出液中にDNAジャイレ-ス活性を“阻害する活性"が存在する可能性が期待される。精製したDNAジャイレ-スのAサブユニット及びBサブユニットを用いて、“DNAジャイレ-ス阻害活性"測定系を確立し、細胞分裂抑制時の大腸菌粗抽出液の酵素化学的変化を解析することにより以下の結果を得た。 (1)LetD蛋白質の発現に依存して誘導されるジャイレ-ス阻害活性が存在する。 (2)この阻害活性を精製したところ、LetD蛋白質ではなく、分子量52,000の新しい蛋白質であった。 (3)この蛋白質は、ジャイレ-スのAサブユニットと直接相互作用をして活性阻害を行う。 以上の結果は、DNAジャイレ-スがF因子DNA複製と細胞分裂の共役の調節に中心的役割を果たしていることを示している。上記蛋白質は染色体(核様体)の構造変化誘導によりこの過程に関与しているのではないかと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Miki,J.Park,K.Nagao & T.Horiuchi: "Control of cell division by sex factor F in Escherichia coli IV.DNA gyrase subunit A plays akey role in the coupling between DNA replication and cell division." In preparation.