1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540540
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
堀 良通 茨城大学, 理学部, 助教授 (30125801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 靖夫 茨城大学, 理学部, 助手 (50202388)
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Keywords | 冷暖温帯移行域 / 水ストレス / 蒸散速度 / ブナ / イヌブナ / 樹形構造 / 光合成速度 |
Research Abstract |
茨城県最北部の阿武隈高地の小川学術参考保存林に1989年5月に調査地を設定し,1989,1990年の2年間にわたって調査・研究を実施し,1990年は以下の結果が得られた。 調査地の1990年の平均気温は10.6℃,暖かさの示数は79.5℃・月であった。相対積算光量子密度(400〜700nm)は林冠木の葉が展開する前の4月初めには,低木層の上で70%,林床で65%であった。6月中旬にはそれぞれ7%,3%にまで低下した。また,中層木の上および林床に入射する100μmolm^<ー2>S^<ー1>以上の光は4月にはそれぞれ70%と65%を占めた。夏季には100μmol^<ー2>S^<ー1>以下の光がそれぞれ90%と99%を占め、投入する直達光は著しく減少した。土壌は年間を通じて厳しい乾燥はなかった。 蒸散速度,気孔開度,木部水ポテンシャルの日変化についてアオダモ,ウラジロノキ,アズキナシ,コアジサアイ,オトコヨウゾメ,ハクウンボクの6種について測定を行った。測定種の通導コンダクタンスを求め,水分の利用様式の比較を行い,以下の結果が得られた。(1)土壌から葉への通導コンダクタンスは蒸散速度と正の関係をもった。(2)乾燥に対して,細胞壁弾性係数をより大きくして,葉の相対含水率の低下を防ぎ,乾燥から逃れる種(ブナ,イヌブナ,ナツハゼ等(1989年))と弾性係数は小さく,乾燥に耐える種(ヤマツツジ等)とがあった。 ブナとイヌブナ稚樹のフェノロジ-,光合成,樹形構造の調査・測定より以下のことが明らかになった。(1)両種の葉の展開,落葉様式は完全に同じ。(2)年間を通じてブナの方が飽和光合成速度と光補償点が高い。(3)ブナはより優先的に上方生成し,イヌブナは樹冠をより平面的に広げ,光受容効率の良い樹形をつくる。以上の結果はブナの方がより陽樹的,イヌブナの方がより陰樹的特性を示唆した。
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