1989 Fiscal Year Annual Research Report
豆象虫における共倒れ型及び勝ち抜き型競争の個体群動態への影響
Project/Area Number |
01540541
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 宏一 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00114124)
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Keywords | マメゾウムシ / 種内競争 / 種間競争 / 共倒れ型 / 勝ち抜き型 / 個体群動態 |
Research Abstract |
1.米国、英国から入手したヨツモンマメゾウムシ(Callosobruchus maculatus)の2系統の生態的性質の解明を行った。米国からの系統は豆内の幼虫密度に関係なく、1豆から1頭しか羽化しない典型的な勝ち抜き型の幼虫間競争を示した。英国からの系統はそれ程典型的な結果は示さなかった。以後の研究では米国系統をヨツモンマメゾウムシの勝ち抜き型系統として用いることにした。 2.ヨツモンマメゾウムシの幼虫間競争の勝ち抜き型系統と共倒れ型系統(手持ちのヨツモンマメゾウムシ)の遺伝的性質を調べた。その結果、勝ち抜き型に関与する遺伝子はほぼ単独の優性遺伝子であることが判った。 3.勝ち抜き型競争を示すアカイロマメゾウムシ(C.analis)と共倒れ型競争を示すハイイロマメゾウムシ(C.phaseoli)との幼虫間競争の解析的実験を行った。豆内から取り出した幼虫を特殊容器に移し、顕微鏡下で幼虫の行動を観察した。アカイロマメゾウムシの3・4齢幼虫は他の幼虫に対し激しい攻撃行動を示し、アカイロマメゾウムシ幼虫同士の時には最終的には1匹の幼虫が生き残った。ハイイロマメゾウムシにはこのような性質は見られず、アカイロマメゾウムシと同居すると一方的に殺された。 4.アカイロマメゾウムシとハイイロマメゾウムシを累代飼育系で種間競争させると、3.の結果からの予想に反しハイイロマメゾウムシは絶滅せず、長期にわたって共存した。 5.豆内での両種幼虫の分布を調べた。アカイロマメゾウムシは豆の中心部に、ハイイロマメゾウムシは豆の周辺部に存在することが判った。このことから豆内では両種幼虫の遭遇頻度が比較的低く、3.の機構が種間競争にはそれ程関与していない故に4.の累代飼育系での両種の共存が可能になったと考えられる。
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Research Products
(1 results)