1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540542
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40191738)
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Keywords | 種子 / 発芽 / 温度 |
Research Abstract |
埼玉県浦和市田島ヶ原の特別天然記念物サクラソウ群落の構成種約50種の種子による繁殖の季節スケジュ-ルと種子発芽における季節選択機構を比較分析した。種子発芽の季節選択機構は、発芽温度反応の段階的温度処置一斉試験法(Washitani,1987)により検討した。採集直後および種子に4℃冷湿処置、4℃乾燥保存、25℃乾燥保存、野外放置の4つの温度前処理を様々な期間(1,2,5,6ヶ月)施したのち、2種類の段階的温度処理(温度上昇系・温度下降法:4-36℃)にさらし両系における発芽パタ-ンを記録した。また。それぞれの系の最終温度に数日間さらした後、さらに12℃-25℃の交代温度、もしくは25℃の恒温条件下に1週間ほどおいて、各系の最大発芽率を求めた。両系での発芽パタ-ンおよび前温度処理の影響を比較することにより、特定の温度にさらされることによる休眠解除および誘導の有無、発芽可能温度域、発芽速度などの情報を得た。その結果、これら50種の間には種ごとに多様な反応パタ-ンが認められた。種子散布直後の発芽可能性、冷湿処理による体眠水準の変化、高温域における二次休眠の誘導の有無を基準にして、調べた種は5つの反応型に分類できた。そのうち4反応型は休眠解除への低温要求性において序列をつけうるもので、種の種子散布時期が遅いものほど(晩秋散布のもの)低温要求性が低いことが示された。このように休眠のタイプとその水準は種子の散布時期に大きく依存するのに対して、非休眠種子の発芽の過程そのものの温度依存性は、エマ-ジェンス時期と密接な関係を持っていることが示された。
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Research Products
(1 results)