1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540544
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 浩志 信州大学, 教育学部, 助教授 (60135118)
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Keywords | 相互進化 / 托卵 / 寄生 / 対抗適応 / 進化 / 適応 |
Research Abstract |
1.アンケ-トと過去の文献調査により、最近60年間におけるカッコウとオナガの分布拡大の様子、それにより両者の分布が重なった結果、オナガへのカッコウの托卵が開始され、それが最近急速に広がった過程を明かにすることができた。この結果を論文として鳥学会誌に投稿した。 2.埼玉県東松山市での調査から、この地域のオナガは卵識別能力、攻撃性がともに低いことから、今後関東地方のオナガに格好の托卵が広がってゆく可能性が高いことがわかった。 3.テル・アビブ大学のZahavi教授の研究室と共同で行った、千曲川のオオヨシキリの卵識別能力の調査から、卵識別能力は若い個体で低く、年をとった個体で高いことから、卵識別能力の獲得には学習的な要素も大きいことが明らかになった。 4.恰好の托卵に対するオナガの対抗手段は、攻撃性や卵識別能力だけでなく、托卵に気づいた場合は巣を放棄することも多くみられ、これらの対抗手段が托卵が開始されてからわずか20年の間に予想以上の早いテンポでひろまっていることが明らかとなった。 5.平成元年9月に行われた日本鳥学会大会の折、「托卵鳥と宿主の相互進化」のシンポジウムを行い、新しい宿主オナガと格好の托卵関係は生物の相互進化を考える上で大変興味深いことを広く知ってもらい、各地に調査協力者を得ることができた。 6.平成2年3月には、約1カ月間イスラエル、テル・アビブ大学を訪れ、今年の共同調査結果の検討と来年度の共同調査の内用の検討をすることができた。また同大学に集まった托卵鳥を研究している世界の研究者たちと会合を持ち、ディスカッションすることができた。
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Research Products
(1 results)