1989 Fiscal Year Annual Research Report
過栄養湖におけるハシビロガモの摂食生態ー手賀沼をモデルとしてー
Project/Area Number |
01540556
|
Research Institution | Yamashina Institute for Ornithology |
Principal Investigator |
杉森 文夫 (財)山階鳥類研究所, 研究部, 研究員 (60087997)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 莞爾 東邦大学, 理学部, 教授 (70057496)
|
Keywords | ハシビロガモ / 採餌(摂食)生態 / 手賀沼 / 過栄養湖 |
Research Abstract |
今年度は、調査地である千葉県の手賀沼と新潟県の湖沼において、次の調査を実施することが出来た。 1.10月から3月までは、調査地である千葉県・手賀沼全域を対象に、毎月2回、12時(昼)と0時(夜)に出現するのカモ類の種類・行動・環境などの調査が行えた。この結果、ハシビロガモが手賀沼の北部遊歩道帯に集中し、採餌していた。このことが、以前の調査結果から予想されていたいたことを今回初めて実証できた。 2.この北部遊歩道帯では、10月から3月までの間、毎月2回出現カモ類の種類とその個体数、行動および生息環境などを記録できた。また、同時に水質と動物プランクトンのサンプリングが行えた。これらの調査はいずれも1回の観察が、毎回8時、12時、16時、20時、0時、4時と8時の各時間帯に実施する24時間の連続調査である。この調査により、ハシビロガモの日周期の変動を明かにし、個体数が増加した2月の調査では、ハシビロガモが各調査時間共終日採餌し、その採餌割合が安定して高いことを明らかにした。 3.手賀沼の沼内7地点の水質と動物プランクトンのサンプリングが、10月から3月まで毎月2回実施できた。前記調査同様、現在動物プランクトンの同定とその個体数算定作業に着手した。採集時の動物プランクトン(ケンミジンコ)の現存量は、以前の結果や採集時の肉眼的な判断からみても、北部遊歩道帯で最も高いものと予想された。ハシビロガモは、これらの動物プランクトンを濾過採餌している可能性が示唆された。 4.今年度記録できたカモ類の観察記録結果は、コンピュ-タに入力し、現在デ-タの解析を実施している。また、手賀沼のカモ類の生活形態の比較のため、新潟県の山本山調査池などの現地調査を実施できた。なお、ハシビロガモのラメラ構造の解析や個体レベルの行動解析は、予備的な調査にとどまり、次年度再検討する。
|