1989 Fiscal Year Annual Research Report
植物にみられるヌクレオチド代謝の特性と活性の調節機構
Project/Area Number |
01540560
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
芦原 坦 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (00017211)
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Keywords | ヌクレオチド代謝 / プリンヌクレオチド / カフェイン / ウレイド |
Research Abstract |
植物のヌクレオチド代謝の特性を明らかにするため、種々の代表的な植物におけるヌクレオチド代謝の概略を主にトレ-サ-実験を用いて調べた。植物では、動物や微生物と同様にプリン、ピリミジンスクレオチドのde novo合成系とサルベ-ジ合成系があることは共通であるが、プリンの異化の過程や、プリンアルカロイドの合成系の有無は、植物種により異なっていた。そこで、いくつかの植物の液体培養細胞、チャの葉と花、ダイズの根粒に関して、さらに詳細にプリン代謝を調べた。多くの植物においては、アデニンヌクレオチドのタ-ンオ-バ-は、非常に速く、プリンヌクレオチドは、アラントインやアラントイン酸を経由して、最終的には、アンモニアとCO_2に分解されること、アデニンヌクレオチドの分解系の最初の反応は、AMPデアミナ-ゼにより触媒され、この活性は、細胞内のATPレベルにより制御されることが明らかとなった。チャの葉では、これらのプリン分解系の活性は弱く、若い葉では、かなりのプリンヌクレオチドが、カフェインの合成の素材として使われること、カフェインの合成系は、花においてもつぼみの時期に発現することがわかった。ダイズの根粒中では、根粒菌により固定された窒素がウレイドになることが知られているが、根粒中では、根に比べ、ウレイドの利用(分解)や、プリンのサルベ-ジ経路の活性も強いことが明らかになった。ヌクレオチド合成の細胞内局在性を調べるため、鍵酵素であるホスホリボシルピロリン酸合成酵素の分布を、ホウレンソウ葉、ハネモで調べた結果、サイトゾルと葉緑体に局在することが認められた。本研究により、植物種、器官によるヌクレオチドの特性が解明されて来たが、今後それぞれの代謝系の調節機構や生理的意義についてさらに研究を進める予定である。
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[Publications] Ashihara,H.: "Purine nucleotide and RNA synthesis in suspension cultured cells of carrot." Physiologia Plantarm. 75. 31-36 (1989)
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[Publications] Ashihara,H.: "Biosynthesis of pyrimidines during germination of black gram seeds:Changes in the levels of participant enzymes." Current Science. 58. 889-891 (1989)
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[Publications] Ashihara,H.: "A HPLC method for separation of purine bases,nucleosides and ureides:Application to studies on purine catabolism in higher plants." Journal of Biochemical and Biophysical Methods. 20. (1990)
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[Publications] Ashihara,H.: "Presence of phosphoribosylpyrophosphate synthetase in chloroplasts from fronds of Bryopsis." International Journal of Biochemistry.
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[Publications] Fujimori,T.and Ashihara,H.: "Adenine metabolism and the synthesis of purine alkaloids in flowers of Camellia plants." Phytochemisty.
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[Publications] Ashihara,H.: "Metabolic fate of[8-^<14>C]adenine and[8-^<14>C]hypoxanthine in nodules and root tissues of soybean plants." Current Science. 60. (1990)