1989 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物培養細胞の細胞周期とチュ-ブリン分子種の変動
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01540561
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡村 昭治 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (60019122)
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Keywords | アイソフォ-ム / 細胞周期 / タバコ / チュ-ブリン / チュ-ブリン遺伝子 / 同調培養 / ニンジン / ノ-ザンブロット |
Research Abstract |
本年度は、細胞周期の進行に伴う、微小管の挙動と構成チュ-ブリンの蛋白レベルおよびmRNAレベルでの解析を行った。これまでの研究では、ニンジン培養細胞を主として使用していたが、細胞周期との関係を調べるためにはアフィディコリンにより高度に同調化させることのできるタバコBY2細胞が適しているため、この細胞を材料として実験を行うことにした。ドットブロットにより、タバコチュ-ブリンも抗トリα-、β-チュ-ブリン抗体(DB1,DB2)と交差反応を示すことが確認されたので、ニンジンの場合と同様、これら抗体との反応性を指標として酵素抗体法によりSDS-ポリアクリルアミドおよび等電点電気泳動のウエスタンブロッティングを行いチュ-ブリン分子種について検討した。その結果、タバコにおいてもα-、β-チュ-ブリンとも蛋白レベルにおいて、複数の分子種より成ることがわかった。また同調培養を用いた実験により、これらのチュ-ブリン分子種の構成は細胞周期の進行によりその比率に変化があるらしい事がわかった。 一方細胞周期各期よりRNAを抽出し、ニンジンβ-チュ-ブリンcDNAより、知られている各β-チュ-ブリン・アイソタイプに共通なアミノ酸配列部分に相当するプロ-ブを調製し、これを用いてドットブロットおよびノ-ザンブロットによりその転写産物の量的、質的変動を調べた。その結果、何れの時期においても、単一のバンドしか検出できず、果たして複数の転写産物が存在しているのか確認できなかった。また、β-チュ-ブリンmRNAは何れの時期においても存在し、顕著な量的変動は認められなかった。 以上の結果、細胞周期の進行に伴うチュ-ブリンの分子種の変化は翻訳以後の修飾の可能性が強いと思われるが今後この点について更に明らかにしていきたい。
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