1990 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物培養細胞の細胞周期とチュ-ブリン分子種の変動
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01540561
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡村 昭治 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (60019122)
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Keywords | アイソフォ-ム / 細胞周期 / タバコ / チュ-ブリン / チュ-ブリン遺伝子 / 同調培養 / ニンジン / ノ-ザンブロット |
Research Abstract |
本年度は、タバコBYー2同調培養を用いて、細胞周期の進行に伴うβーtubulin遺伝子産物について解析を行う一方、いままでの研究成果を活かすべくニンジンGDー2細胞についても同調化可能な株の選抜を試みた。まず同調培養各期のタバコBYー2細胞より迅速処理により酸性蛋白画分を調製し、一次元等電点電気泳動immunoblottingにより、存在するβーtubulinの構成を調査した。その結果、タバコ細胞において、βーtubulinは等電点5.25から5.50まで主として4種のisoformが存在し、その構成比は細胞周期の進行に伴って変化した。すなわち、S,G2,M期には、pI=5.30,5.32のisoformが主成分であるが、G1期にpI=5.50のものが上昇することが観察された。一方、各期BYー2細胞より抽出されたRNAのdot blotの結果より、βーtubulin mRNAは細胞周期各期を通して存在し、その総含量には大きな変動はなかったが、G2期にやや減少し、M期に最大となりG1期に再び減少する傾向が見られた。このことは、間期細胞質微小管も重要な役割を持つ高等植物細胞では、細胞質微小管のない粘菌ほど大きな変化は示さないにしても、G2期からM期にかけて、tubulin遺伝子の転写活性が上昇するか、その安定性が増すなどの変化の存在する可能性が残っていることを示唆している。これらの変化には、ある特定のtubulin遺伝子が関与している可能性が考えられるが、Northern blotの結果に関するかぎり、質的に異なったmRNAを検出することは出来なかった。Northern blotではサイズが似通ったmRNA同士の区別は困難であるため、今後各期mRNAを鋳型としてin vitroでの翻訳産物の比較をし、この点をさらに確かめていく予定である。またBUDR法を改良することによりニンジンのaphidicolin高感受性株を選抜する実験系をほぼ完成したので、今後これによりニンジン同調培養を誘導し、これまでに蓄積してきたtubulinに関する知見を活かしていきたいと考えている。
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