1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540573
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 道夫 北海道大学, 理学部, 助教授 (20091499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 輝明 北海道大学, 理学部, 助教授 (70000867)
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Keywords | 成分分類学 / バイオシステマティックス / 含ハロゲン化合物 / 二次代謝産物 / 種内分化 / 紅藻 / ソゾ属 |
Research Abstract |
ウラソゾは多様な含ハロゲン二次代謝産物を生じる。その主成分はカミグラン型セスキテルペノイドと直鎖のC_<15>非テルペノイドで、前者のグル-プにはprepacifenolとpacifenolが、後者のグル-プにはlaureatin,isolaureatin,epilaurallene,laurencin,kumausallene,及びisoprelaurefucinが含まれる。本種は北九州沿岸から日本海を北上し、北海道オホ-ツク海沿岸、津軽海峡を抜けて北海道東岸並びに本州北部太平洋沿岸に生育している。本州日本海沿岸(山口県から青森県に至る8箇所)の調査で、研究対象の個体群がすべてC_<15>非テルペノイドグル-プのlaureatin-isolaureatinを生成していることが明らかになった。また、東北太平洋沿岸6箇所の調査では、それらの個体群がC_<15>非テルペノイドグル-プのlaureatin-isolaureatinもしくはlaurencinの一方を生成しいることが判明した。北海道沿岸には上述したさまざまなタイプの化合物を生成する個体群が存在し、ウラソゾの種個体群の多様性は地理的分布域の北方で達成されたと考えられる。カミグラン型セスキテルペノイドとC_<16>非テルペノイドのlaureatin-isolaureatinをそれぞれ生成する個体群間の正逆交雑では、稔性のあるF_1四分胞子体を生じ、両親から由来た2種類の化合物を生成した。F_1配偶体の大部分はいずれか一方の化合物を生成したが、1個体ては2種類の化合物を生じた。胞子四分子を単離・培養した実験では、カミグラン型セスキテルペノイドとC_<15>非テルペノイドを生成する雌雄の配偶体が1:1に分離した。したがって、両方の化合物生成に関与する遺伝子は一対の相同染色体の異なった部位に位置し、配偶体で2種類の化合物を生じるのは、組換えが起きた結果と推定される。両者の化合物を生成する個体群が同所的である北海道南茅部町での調査で、両者の自然雑種と考えられる四分胞子体並びに組換え型の配偶体が実際に確認され、実験結果を裏付けている。
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[Publications] Teruaki Suzuki: "Intraspecific variation of halogenated secondary metabolites in the red alga Laurencia nipponica" Journal of Phycology.
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[Publications] Michio Masuda: "Two chemical races of laurencia nipponica(Rhodophyta,Ceramiales)" Journal of Phycology.