1989 Fiscal Year Annual Research Report
ノンスパイキング介在神経でのシナプス入出力変換過程の実験及びシミュレ-ション解析
Project/Area Number |
01540585
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅一 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (10111147)
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Keywords | ノンスパイキング介在神経 / シナプス / 統合作用 / 中枢神経系 / シミュレ-ション / ニュ-ロン / ザリガニ |
Research Abstract |
ノンスパイキング介在神経でのシナプス入出力変換機構をコンピュ-タシミュレ-ションにより解析するための第1段階として、介在神経の基本的生理性質を調査した。今回はまた、これら介在神経が制御する運動神経についても合わせて調査した。取り上げた性質は入力抵抗及び膜時定数であるが、後者については従来のシミュレ-ションでは同一神経細胞内で変わらないものとして扱われて来た。本研究ではこの点を実験的に検討し、また入力抵抗が神経細胞内各部位でどのように異なるのかを明らかにする目的で、電極刺入部位と上述性質との対応を調べた。記録・電流注入用細胞内電極には蛍光色素ルシファ-イエロウを詰め、実験終了後、色素を電気泳動的に細胞内に注入した。その後in situの状態でルシファ-イェロウの励起光(430nm)を落射照明することにより、実体解剖顕微鏡下で染色された細胞での電極刺入部位を同定した。 運動神経で得られた結果は、入力抵抗の値と細胞内部位との間に相関があることを示している。すなわち細胞体(直径80-100μm)では約10MΩであるのに対し、樹状突起(直径5-15μm)では20-30MΩであった。ノンスパイキング介在神経では、これまでの所、突起からの記録のみで、細胞内部位間での比較は出来ていない。しかしその入力低抗(20-50MΩ)は、運動神経の樹状突起での値と比較してよりたかい値を示す。今後デ-タ数を増やしてその差の統計的有意せいを調べる必要がある。膜時定数については、現在解析中である。 次年度には今回得られた生理実験デ-タに基づき、典型的な値を示す神経細胞についてその形態を計測してニュ-ロンモデルを作成する。モデルの作成自体は直ちにも可能であったが、計画調書にも述べた通り、モデルの妥当性は与える変数値に大きく依存しており、今年度の研究はこの変数値の範囲を実験的に確定した意義を持つ。
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[Publications] Toga,T.,Takahata,M.and Hisada,M: "An identified set of local nonspiking interneurons which control the activity of abdominal postural motoneurons in crayfish" Journal of Experimental Biology. (1990)
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[Publications] Takahata,M.and Hisada,M.: "Local nonspiking interneurons as a separate integrator of motoneurons in crayfish" Comparative Biochemistry and Physiology. (1990)
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[Publications] Takahata,M.: "Frontiers in Crustacean Neurobiology(deited by Wiese,K.,Tautz,Krenz,W.-D.,Reichert,H.and Mulloney,B.)" Georg Thieme Verlag/Stuttgart, inpress (1990)
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[Publications] Takahata,M.: "Neurobiological Basis of Human Locomotion(edited by M.Shimamura)" Japan Scientific Society Press/Tokyo,Springer Verlag/Berlin, inpress (1990)