1990 Fiscal Year Annual Research Report
ロドプシン・ポルフィロプシン視覚系のレチノイド代謝とその制御
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01540610
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 龍夫 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90068544)
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Keywords | ロドプシン / ポルフィロプシン / 3,4ージデヒドロレチノ-ル / 3ーヒドロキシレチノ-ル / レチノイド代謝 |
Research Abstract |
ロドプシンとポルフィロプシンの二種視物質を持つフザリガニ網膜中に存在するレチノイドのエステル体は、視物質クロモホアの前駆体と考えられるが、視物物組成とエステル組成の間には大きな食い違いがある。そこで、貯蔵エステルからクロモホア生成までに関与すると予想されるレチニルエステル加水分解酵素とレチノ-ル脱水素酵素の性質を特に基質特異性に注目して調べた。 エステル加水分解酵素は、レチニル[ ^3H]ーパルミテ-トを基質とし遊離パルミチン酸量を測定し、脱水素酵素はレチノ-ル又はデヒドロレチノ-ルを基質としヒドロキシルアミン存在下で生成するオキシム量を測定して調べた。エステル加水分解酵素はpH5とpH8に活性の極大を示しpH8の活性が11ーシス形基質に特異性があった。酵素は少なくとも二種存在し、pH8で活性を示すものがクロモホア生成に関与すると考えられる。拮抗実験の結果、この酵素はデヒドロレチニルエステルに基質特異性があった。レチノ-ル脱水素酵素はpH8に単一の活性極大を示し、11ーシス形レチノイドに特異性を示したが、レチノ-ルとデヒドロレチノ-ルの間で基質特異性は見られなかった。レチニルエステルを出発基質としレチナ-ルオキシムを最終産物とした全反応系では、11ーシス形に対し極度に特異的であったが、レチノ-ルとデヒドロレチノ-ルの間では特異性がなかった。両酵素とも、視物質の存在するラブド-ム分画に高い比活性が確認された。 以上の結果から、今回活性が測定された両酵素がクロモホア生成に関与するものである事は明らかであるが、視物質組成とエステル組成の食い違いはこれら酵素の基質特異性からは説明できない。レチニルエステルが加水分解をうけた後、3ーヒドロキシンレチノ-ルを経てデヒドロレチノ-ルに変化する反応が視物質組成を決定すると考えられる。
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Research Products
(1 results)