1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540615
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩澤 久彰 新潟大学, 理学部, 教授 (60018249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 勇一 新潟大学, 理学部, 助教授 (30035480)
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Keywords | サンショウウオ / 生殖器官 / 性ホルモン / 生殖生物学 / 比較内分泌学 / ネオテニ- / チロキシン / 変態 |
Research Abstract |
1.生殖腺性分化過程の電顕観察:クロサンショウウオの性分化様式は分化型で、卵巣よりも精巣が早く分化する。髄質は体腔上皮由来だ。 2.産卵期の体型変化とそれに対応する体内変化:クロサンショウウオの雄は池に入ると排精を始め、体型が水生型になる前に完了する。水生型になると精管の腺分泌が起り、精子束は崩れる。雌は池に入って排卵し、卵嚢形成によって体重が著しく増加する。 3.精巣の微細構造と雄生殖器官の周年変化:クロサンショウウオの精細管は精巣内輸出管の周囲に扇状に配列し、精原細胞は輸出管の近くにある。間質にはステロイド産生細胞が周年みられ、それらに接して無髄鞘神経軸索がみられる。輸出管は類筋細胞に囲まれ、それに無髄鞘神経線維が接している。精子形成は精巣全体に同調的に進行し、雄の二次性徴は精子形成後に発達する。 4.卵サイズと卵数の変異:クロサンショウウオの卵数・卵サイズの集団内の変異は親のサイズと相関し、その度合は集団によって差がある。卵サイズと卵数、総卵黄量は集団によって違う。高地の集団は低地のものより成長・成熟がおそく、長寿である。 5.越冬幼生の成因:クロサンショウウオでは一定サイズになる前に水温が低下すると越冬幼生となる。翌年の夏に池の水量が減ると変態する。変態開始の要因は水温上昇だけてはない。チロキシン(6×10^<-8>M)水溶液飼育では10℃以上の外鰓消失、8℃以上で尾びれ消失、4℃以上で皮膚に変態的変化が起った。低温ではTSHは無効である。 6.ネオテニ-の可能性:6℃で飼育した幼生と室温飼育の幼若体の脳下垂体の免疫組織学的観察から、クロサンショウウオではネオテニ-が起る可能性は少いが、エゾサンショウウオにはその可能性があることを示唆する結果が得られた。
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[Publications] Takahashi,Hisashi: "Clutch size and egg size variations in salamanders:Traits of the variations in some levels of biological organization" Current Herpetology in East Asia(The Herpetological Society of Japan). 282-291 (1989)
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[Publications] Hasumi,Masato: "Seasonal changes in body shape and mass in the salamander,Hynobius nigrescens" Journal of Herpetology. 24. 113-118 (1990)
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[Publications] Hasumi,Masato: "Seasonal dynamics of reproductive organs in male salamanders of the species Hynobius nigrescens" Copeia. 1990. 363-373 (1990)
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[Publications] Yamashita,Kaoru: "Effects of thyrotropin,thyroxine,and thiourea on Hynobius nigrescens larvae at low temperature" Science Reports of Miigata University,Series D(Biology). 27. (1990)