1991 Fiscal Year Annual Research Report
魚類生殖巣の分化過程での生殖細胞と体細胞の相互作用の解析
Project/Area Number |
01540616
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
濱口 哲 新潟大学, 教養部, 助教授 (20126444)
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Keywords | メダカ / 性分化 / 性決定 / Y染色体 / 常染色体 / 種間雑種 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は主として、昨年度に存在することが確認された、性決定関連遺伝子について研究を行った。 メダカはXXーXY型の性決定機構を持っている。性決定過程はY染色体上の遺伝子に始まる遺伝子カスケ-ドによると想像されるが、それらの遺伝子の情報は乏しい。メダカとハイナンメダカ(O.curvinotus)の種間雑種の稔性の検討過程で、東韓集団のメダカとハイナンメダカのF1個体がすべて雌になることが分かった。F1Xハイナンメダカの子供は3倍体(3n)になるが、その性比を調べると、F1の個体によりすべて雌になるものと雌雄両方が現れるものの2通りあった。この事実から、性染色体構成がXXとXYの両者のF1雌個体がいることがわかった。つまり、ハイナンメダカのY染色体が存在しても、東韓国メダカの(なんらかの)遺伝子の存在下では雄になれないことを示す。以上から、(1)Y染色体上の雄決定遺伝子には、ハイナンメダカとメダカの間に多型が存在する、(2)それが性決定に働くためには、他のなんらかの遺伝子が必要であること、(3)その遺伝子にはメダカの地方集団の間に多型が存在し、東韓集団のものは他集団及びハイナンメダカのものと何らかの違いがあることがわかった。 その性決定関関連遺伝子がX染色体上にあるのか、常染色体上にあるのかを検討した。東韓国メダカとdーrR系統のメダカのF1雌、さらに、それをdーrRに戻し交配して得たN1雌とハイナンメダカを交配して得た子供の性比を調べたところ、東韓メダカのX染色体の存否にかかわらず、その性比は1:1から逸脱した。しかも、性比から判断して、関係する遺伝子は複数であることが推論された。つまり、メダカの性決定にはY染色体上に存在する遺伝子の他に、常染色体上の複数の遺伝子が関与することがわかった。今後は、その常染色体上の遺伝子の連鎖を調べること、さらにはその遺伝子の発現している細胞を特定するとこが期待される。
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[Publications] Satoshi Hamaguchi,Mitsuru Sakaizumi;: "Autosomal genes involved in primary sex determination in the teleost,Oryzias latipes." ZOOLOGICAL SCIENCE.8. 1126 (1991)
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[Publications] Mitsuru Sakaizumi,Y.Shimizu,T.Matsuzaki,J.Kurita,T.Oshiro,Satoshi Hamaguchi;: "Nonーreductional diploid eggs produced by females if interspecific hybrids between Oryzias latipes and O.curvinotus." ZOOLOGICAL SCIENCE,. 8. 1126 (1991)
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[Publications] Satoshi Hamaguchi,Mitsuru Sakaizumi;: "Sexually differentiated mechanisms of sterility in interspecific hybrids between Oryzias latipes and O.curvinotus." JOURNAL OF EXPERIMENTAL ZOOLOGY,. (1992)
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[Publications] Mitsuru Sakaizumi,Y.Shimizu,Satoshi Hamaguchi;: "Electrophoretic studies of meiotic segregation in interand intraspecific hybrids among east Asian species of the genus Oryzias(Pisces: Oryziatidae)" JOURNAL OF EXPERIMENTAL ZOOLOGY,. (1992)