1989 Fiscal Year Annual Research Report
新旧構造帯の接触関係に関する構造地質学的研究-九州四万十帯における白亜系と古第三系との関係-
Project/Area Number |
01540631
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩松 暉 鹿児島大学, 理学部, 教授 (80018663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 修一郎 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60211653)
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Keywords | 構造帯 / 構造線 / 四万十帯 / 地形解析 / リモ-トセンシング / 国土数値情報 / 画像処理 |
Research Abstract |
先に研究代表者は宮崎県延岡市近傍の四万十帯について、従来四万十帯最下部層とされていた北川層群から古第三紀の放散虫化石を発見し、これを日向帯と位置づけた。また、岩石力学的研究から白亜系と古第三系では、同一岩質なら岩石物性に著しい差のあることを見い出した。このような物性的差異は当然浸食に対する抵抗の差としても現れてくるはずである。そこで、国土数値情報を用いて、延岡周辺の地形解析を行った。その結果、白亜系諸塚層群と古第三系北川及び日向両層群とで明かな差異が認められた。すなわち、主要地形方向については、前者がとくに顕著な方向が認められないのに対し、後者はENE〜WSW方向が卓越する。平均高度は前者が217mなのに対し後者は114mと、約100mの差がある。当然、尾根高度にも差があり、前者が200mほど高い。斜面の平均傾斜は、前者が36°なのに対し後者は31°である。谷密度は逆に前者が4.85と小さく、後者は5.12である。要するに、白亜系は地形が急峻で谷密度も小さく早壮年期地形を呈するのに対し、古第三系は谷の発達した晩壮年期の低い丘陵をなしている。実際は諸塚層群が泥質岩からなるのに対して北川・日向両層群は砂岩頁岩互層からなり、浸食に対する抵抗力の強い砂岩の含有量からすれば、正反対の地形的特徴が期待される。やはり続成作用に及ぼす時間の効果のほうがより大きかったのであろう。こうした特徴が一般的に言えるかどうか、次年度は九州山地中央部についても検討したい。また、衛星画像を用いたコンピュ-タによるパタ-ン認識も併用して、より広域の検討を容易に行える手法を確立したい。
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