1990 Fiscal Year Annual Research Report
海底地すべりの形成機構・形成期,及びその予測に関する研究
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01540634
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
根元 謙次 東海大学, 海洋学部, 助教授 (70164663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小菅 晋 東海大学, 海洋学部, 助教授 (60056158)
佐藤 武 東海大学, 海洋学部, 助教授 (70056092)
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Keywords | 海底地すべり / 駿河湾 / 石花海北堆 / 地震活動 / 安政地震 / 海底地質構造 / 堆積学的研究 / 音波探査 |
Research Abstract |
平成2年度は,平成2年度補足調査を行なうとともに,これまでの研究の完結に重点を置いた。研究内容は,音波探査資料の解析,粒度分析を中心とした表層堆積物の堆積作用のメカニズムの検討,採泥試料の花粉分析による地すべり期の検討,補足調査により石花海堆で得られた の起源の研究,地すべり発生と津波発生機構との関係についての検討を行なった。(1)音波探査記録解析より,海底地質構造や発達過程を検討した。石花海堆は第四紀の基盤隆起運動により上昇し,原初斜面が形成される。基盤上昇は新しい海底谷を北堆基部沿いに形成し,海底侵食が行なわれる。斜面基部での侵食は,さらに不安定な急崖を形成する。歴史地震の一つが海底地すべりのトリガ-となり,土石流は海底谷軸を通じ北域の海盆域に運搬された。(2)採泥資料の堆積学的研究により、堆積物の流動、堆積作用のメカニズムの検討を行なった。本域では平隠な連続した堆積環境を示す地層(地すべり周辺域),試料上部に岩相の不連続を含む地層(地すべり域),乱堆積構造を特徴とした地層(地すべり末端域)などの堆積域区分が可能である。また,地すべり前面に分布する海底の高まりの起源について検討した結果,現地性堆積物であり,モデルに対しての新たな制約となる。(3)石花海堆上に分布する礫層の起源についての研究の結果,一部に安倍川系礫が含まれている事が確認された。(4)採泥資料の古生物学的研究(花粉ない,ST.10(周辺域)では,3帯(3000年以前,3000年-中世,中世-現在)の分帯が可能であり,ST.9(地すべり域)との対比より,地すべり期は中世以降である事が明らかとなった。(5)地すべり発生と津波発生機構との関係を計算機による数値計算より検討し,一定の条件下において津波の発生する可能性が指摘された。今後さらに,地すべりのモデル化を行い、海底地すべりと津波との関係,津波発生の予知的研究を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 根元 謙次: "羽衣沖海底谷 ー堆積物の流動現象についての地質学的考察" 東海大学紀要海洋学部. 29. 1-21 (1989)
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[Publications] 根元 謙次: "駿河湾石花海北堆斜面上の海底地すべり" 地質学雑誌. (1991)
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[Publications] 柴 正博: "駿河湾北堆の礫の起源" 地団研専報38,フォッサマグナの隆起過程. 33. 11-18 (1991)