1990 Fiscal Year Annual Research Report
九州の古第三系に対する石灰質ナノ化石を用いた生層序と古環境解析
Project/Area Number |
01540638
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岡田 尚武 山形大学, 理学部, 教授 (80111334)
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Keywords | 九州 / 古第三系 / 石灰質ナノ化石 / 生層序 |
Research Abstract |
唐津炭田の漸進統と天草下島の始新統から試料を採取し、石灰質ナノ化石に基づいて堆積年代を決定した。唐津炭田の畑津頁岩層については昨年度の調査で漸新世末期のCP19b亜帯相当と判定した。しかし、今年度の調査でナノ化石を比較的多く含む試料が採取でき、この中にSphenolithus distentusの産出を認めたのでCP18ー19aに対比を改めた。同様な群集を産出する芦屋層群の逆水層最上部からの試料についても複数のスライドを作り直して観察したところ、やはりS.distentusを稀産することが判明し、芦屋層群の山鹿層と逆水層は共にCP18ー19aに対比できることが分かった。 天草の始新統についとはこれまで最上部と最下部のナノ化石年代が判明していたが、それ以外の層準についてはナノ化石の研究が行なわれていなかった。今年度は下島北部に露出する鬼池層と二江層、下島南部の魚貫層、一町田層、砥石層、志岐山層、福連木層から多数の試料を採取して検鏡した。その結果、鬼池層と二江層はCP15bー14bに対比され、両層の境界はCP14b亜帯の上部に認められる。下島南部の試料については、一町田層と砥石層からはナノ化石が産出しなかったものの、他の地層からは保存不良ながらナノ化石が多く見つかった。魚貫層はCP14aー13bに対比され、志岐山層は全体がCP13aに、福連木層はCP13ー12に対比できた。 この結果、九州西部の炭田地帯に分布する古第三系について、石灰質ナノ化石の生層序を用いた年代決定と対比を行なうという当初の目的は達成できた。研究の成果は日本地質学会と日本古生物学会で口頭発表しており、総合的な研究報告を出版準備中である。
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Research Products
(1 results)