1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540655
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
黒田 吉益 信州大学, 理学部, 教授 (20015530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
針谷 宥 北海道大学, 理学部, 教授 (50000815)
山田 哲雄 信州大学, 理学部, 教授 (30020647)
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Keywords | 花崗岩 / 角閃石 / 雲母 / 重水素濃度 / 水 / 水酸基 / 盾状地 / 変動帯 |
Research Abstract |
天然の含水珪酸塩、とくに角閃石と黒雲母のDHの量とD/Hのデ-タを整理し、かつ新しいデ-タも増やした。またそれらの鉱物と水のD/Hの交換平衡実験をし、今までの実験デ-タとあわせて課題の内用について新しい考えを導いた。ただし、我々の問題にしているマグマは、大陸地殻の花崗岩質マグマである。 1.上部マントル-下部地殻の境界あたりで生じた花崗岩質マグマは水(H_20)はほとんど持っていず、OHという形のものを含んでいた。 2.このようなマグマから晶出してきた角閃石、黒雲母のD/Hは、相手が溶融体中のOHであるから、上述の実験の場合の分配と異っている。それは、天然では盾状地が盾状地になってしまった後に迸入してきた花崗岩(例えばラパキビ)に見られる。その理由は、盾状地は結晶質岩石となっており、花崗岩迸入のとき(高温)に水(H_20)がほとんどなかったせいである。 3.日本列島のような変動帯の地殻は厚く、変動をしており、水もたくさんある状態であった。そこへ花崗岩質マグマが迸入してくるので、晶出する角閃石、黒雲母は水(H_20)とD/Hの分配をする。その分配のパタ-ンは、実験の分配パタ-ンに似ているものとなる。 4.つまり、日本列島のような変動帯と大陸の盾状地では、同じ花崗岩の活動でも水(H_20、OHを含めて)の状態が異っていることが明らかになった。 5.溶融体のOHと角閃石、黒雲母のD/Hは今のところ実験が不可能であるが、今後、理論的な推測をしていかなければならない。 6.角閃石、黒雲母と水のD/H分配の実験は、今後水の量をかえながら今までの実験が正しいかどうかの検討もしなければならない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Kuroda,T.Yamada,O.Takano and S.Matsuo: "D/H study of the magnetite series granitic rocks fro the Kitakami district, Northeast Japan" Chemical Geology(Isotope Geoscience Section). 73. 343-352 (1989)
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[Publications] 黒田吉益,山田哲雄,松尾禎士 他: "花崗岩マグマの水の問題" 岩鉱特別号. 4号. 179-197 (1989)
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[Publications] Y.Kuroda,S.Matsuo and T.Yamada (Ed.F.Marumo & I.Sunagawa): "Origin and Evolution of waters in granitic intrustions (Dynamic processes of materiasl transformation in the Earth's Interior)" TERRAPUB, 427-439 (1990)
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[Publications] Y.Kuroda,T.Yamada,A.Yoshinari and S.Matsuo(Ed.F.Marumo & I.Sungawa): "Origin of fumarolic and magmatic waters in an acid volcano, Yakedaka,central Japan,(Dynamic Processes of material transformation in the Earth's Interior)" TERRAPUB, 415-425 (1990)