1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540657
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土山 明 京都大学, 理学部, 助手 (90180017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 克敏 京都大学, 理学部, 講師 (70025352)
北村 雅夫 京都大学, 理学部, 助教授 (70004489)
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Keywords | 原始太陽系星雲 / 凝縮作用 / 鉱物・ガス反応 / オリビン / 輝石 |
Research Abstract |
原始太陽系星雲における凝縮過程においては、ガスからの鉱物の成長ばかりでなく、すでに凝縮した鉱物と残りのガスとの反応が、星雲中での固相-ガス分別作用による物質の分化に重要な役割を占めている。しかしながら、このような反応過程についての実験的研究は、低温では不揮発性な元素のガスを高温で制御するという困難さに起因して、これまでなされていなかった。 本研究では、このような反応実験をおこなうための新しい方法として、二重カプセル法の開発とその確立に成功した。この方法は、大型のクヌ-セン・セル内に蒸発源試料と鉱物結晶の入った小型のオ-プン・カプセルを入れ、これを真空炉内で加熱するものである。これにより、蒸発源からのガスと鉱物結晶との反応を、一定の条件で制御することが可能になった。 本研究ではさらに、太陽系星雲の凝縮過程で最も重要である、オリビンとSiに富むガスとの反応による輝石の生成に、この方法を適用した。蒸発源としてクリストバライト粉末を用い、一定方位のフォルステライト結晶との反応実験を、約1500℃付近の温度でおこなった。これにより、下地のフォルステライトの結晶方位に関係なく、エンスタタイト多結晶が反応生成物として得られた。このエンスタタイト生成物の幅は、一定温度では反応時間の平方根に比例し、反応は生成物中の元素の拡散によって支配されることが明らかとなった。実験によって求められた反応速度とその温度依存性から、原始太陽系星雲中でのオリビンとSiに富ガスとの反応速度を推定したところ、最大でも数μm程度の輝石が生成されるにすぎないことがわかった。従って、星雲の冷却中には反応はほとんど進行せず、最大分別作用が星雲内で起こることが期待される。
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Research Products
(1 results)