1989 Fiscal Year Annual Research Report
日高変成帯のグラニュライト相変成作用と部分溶融の研究
Project/Area Number |
01540662
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小松 正幸 愛媛大学, 理学部, 教授 (00018665)
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Keywords | 日高変成帯 / グラニュライト相 / 花崗岩 |
Research Abstract |
1.日高変成帯のグラニュライト相片麻岩の最高度変成作用、および後退変成作用時における温度・圧力条件を多数の鉱物対について、種々の地質温度-圧力計を用いて算出した。その結果,最高温度・圧力条件は,800℃-850℃、7-7.2Kb、後退変成作用はD_1変形作用時において、700-750℃、5Kb±、D_2変形作用時において、600-400℃、3Kb±であることが判明した。最初の条件は異常に高い温度に達したことを示す。 2.最高時のグラニュライト相変成作用条件は、砂泥質変成岩が部分溶融を起す温度・圧力範囲にある。そこで、部分溶融によって花崗岩質マグマが生じているかを野外調査と岩石・鉱物の化学分析によって検討した。野外の産状からは部分溶融によって生じたと考えられる花崗岩質物質はa.砂泥質グラニュライト相片麻岩中の優白質レンズ、b.グラニュライト相片麻岩上位の変成岩中の優白質脈、c.シ-ト状の花崗岩内緑岩-ト-ナル岩体、である。このうちaについて岩石・鉱物学的に検討を行った。優白質レンズとその周囲のザクロ石-斜方輝岩片麻岩の希土類元素組成は、砂泥質片麻岩(ザクロ石-キン青石-黒雲母片麻岩)が部分溶融した場合の液と残留固相の関係を示す。このことはグラニュライト相で部分溶融が起こっていることを支持する。 3.日高変成帯は海溝堆積体を起源としているにもかかわらず、高温型の変成作用と花崗岩の形成をもたらせた。この熱源は通常の島弧火成活動帯のものとは同一には考えられない。この熱源を合理的に説明するためにシュミレ-ションによって熱史と熱源モデルの検討を行った。その結果最も可能性のあるプロセスは、拡大海嶺が沈み込み、これによって熱いアセノスフェアが上昇し、同時に5Km程度の厚さの玄武岩マブマ層が地殻下部に加わることが必要であることが明らかになった。
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[Publications] Komatsu,M.,Osanai,Y,Toyoshima,T.& Miyashita,S.: "Evolution of the Hidaka metamorphic belt,northern Japan" Geol.SOL.London,Spec.Publ.“Evolution of metamorphic belts". 43. 487-493 (1989)
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[Publications] 小松正幸,小山内康人,豊島剛志: "日高変成帯の温度-圧力-変形史" 月刊地球. 11. 239-244 (1989)
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[Publications] Osanai,Y.,Komatsu,M.& Owada,M.: "High-grade metamorphism and granlte qlnesis in the Hidaka metomorphic belt,Hokkaido,Japan" Leningrod volume(Geological 2bornic series).
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[Publications] 竹下徹,小松正幸: "島弧-海溝系高温変成帯の熱源-日高変成成作用を例にして" 月刊地球.