1989 Fiscal Year Annual Research Report
長崎県対馬内山花こう岩類と熱水性鉛亜鉛鉱床との成因的関係
Project/Area Number |
01540664
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島田 允堯 九州大学, 理学部, 教授 (00037235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 正人 九州大学, 理学部, 助手 (70117232)
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Keywords | 対馬内山花こう岩体 / 帯磁率 / 流体含有物 / 花こう岩類 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、対馬内山花こう岩体自身の地質学的並びに物理化学的キャラクタリゼ-ションを目標としてはじまったが、この目標はほぼ予定通り達成された。以下研究実績の概要を述べる。 (1)現地踏査を実施した結果、内山岩体は対州層群(漸新世〜中新世初期)の背斜軸部に沿ってほぼコンコ-ダントに貫入したものであることが更確認された。(2)近年開設された林道等で、新鮮な露頭が観察され、ダ-クインクル-ジョンや硫化物、炭酸塩鉱物の産状が新たに詳しく記載され、同時に系統的サンプリングが実施された。(3)各露頭でカッパメ-タによる花こう岩類の帯磁率が測定された。その結果、帯磁率は2〜922×10^<-6>emu/gの広範囲をとり、しかも岩体周緑部(被貫入岩から150m以内)は低帯磁率帯、岩体核部(被貫入岩から350m以上はなれた部分)は高帯磁率帯となっていて、明瞭な異帯構造を示すことが明らかになった。(4)花こう岩類の化学組成はXRF法により得られたが、DI値が57.3〜93.7を示し、しかも変化図上で同一トレンドをとることから、4地区に見かけ上分れて分布する花こう岩類はすべて1つのプルトンを形づくっていることが明らかになった。(5)花こう岩類中の石英に含まれる流体含有物は、冷却加熱装置下で測定され、均質化温度は320〜530℃、塩濃度は37〜60wt%NaCl相当濃度であることが判明した。(6)流体含有物の存在頻度を画像処理装置を用いて定量化することが試みられたが、プログラムソフトの改良によって、デ-タ処理上の基本的な問題は解決する見込みが得られた段階である。一方では、試料の観察断面域によって、流体含有物の大きさの分布、頻度分布が著しく異なることも明らかになり、このような不均質性をどう定量化してゆくか、新たな問題点も生じている。 以上の結果は、研究課題の目的を達成するうえで基礎的で重要なものであり、次年度の研究計画の結果とともに総括して結論を導きたい。
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