1990 Fiscal Year Annual Research Report
長崎県対馬内山花こう岩類と熱水性鉛亜鉛鉱床との成因的関係
Project/Area Number |
01540664
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島田 允尭 九州大学, 理学部, 教授 (00037235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 正人 九州大学, 理学部, 助手 (70117232)
本村 慶信 九州大学, 理学部, 助手 (20037237)
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Keywords | 対馬 / 鉱脈 / 流体包有物 / 輝コバルト鉱 / ゾ-ニング |
Research Abstract |
本年度の研究は長崎県対馬の内山花こう岩体周辺に分布する鉱脈の鉱化作用特性を明らかにし、花こう岩体との成因的関係を実証的に考察することが目的であった。研究成果は次の通りである。 1)大船越地区 (1)新たに15の鉱脈露頭が見つかり、その試料が検討された。(2)鉱脈の鉱物組み合わせは、基本的には磁硫鉄鉱及び石英からなり、硫砒鉄鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱、白鉄鉱、自然蒼鉛、緑泥石、方解石を随伴するが、鉱脈群による違いはほとんどない。(3)鉱脈の脈構造・鉱脈構成鉱物、鉱石組織等は、佐須地区の安田・大正鉱床のそれと良く類似する。(4)流体包有物の加熱冷却ステ-ジによる実験の結果、充填温度220゚〜380゚C、塩濃度は2.4〜6.4wt%NaCl相当濃度が得られた。 2)佐須地区南部 (1)天の原、下県、元山道、古川、久根東部の各旧坑及び天熊鉱山探鉱坑道について鉱床調査を実施した結果、鉱脈の胚胎様式並びに鉱石鉱物の共生関係が判明した。(2)天熊鉱脈は'層面ひ'であって、石英ー黄鉄鉱脈からなるが、この脈には輝コバルト鉱が特徴的に伴なわれることが明らかになった。(3)下県、元山道、古川の鉱脈ではCo及びBi品位が0.1%程度確認されたことから、当地域にはCoーBi帯が広域鉱化ゾ-ニングとして設定出来る可能性が指摘された。 3)内山花こう岩体と鉛亜鉛鉱化作用 内山花こう岩体を中心に、電気石グライゼン帯、コバルトービスマス帯、硫化鉄帯、鉛亜鉛帯のゾ-ニングがあり、この鉱化作用に関与した流体は花こう岩マグマの後火成作用によりもたらされ、花こう岩体からの距離に応じて次第に天水との混合比が高くなって、その結果各種鉱脈の沈澱が生じたという成因モデルが成り立つことが明かになった。
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