1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01540670
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
森本 信男 大阪産業大学, 教養部, 教授 (10029829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 清子 大阪産業大学, 教養部, 技術員
田中 和男 大阪産業大学, 教養部, 助教授 (80066927)
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Keywords | 隕石 / 変調構造 / 長石 / ピロ-タイト / 相転移 |
Research Abstract |
隕石の重要構成鉱物の転移や分解に伴う結晶構成変化の一般的な特徴を明らかにすることは,隕石の生成や進化を理解する上できわめて重要である。平成2年度の本研究はこの目的で進められた。 当初は,硫化鉱物であるピロ-タイトについての研究を進めたが,輝石や長石などの珪酸塩鉱物についても研究した。ピロ-タイトの場合,高温型が温度の低下と共に中間型を経て低温型に変化する.組成によりその過程に違いがみられるが,一般に中間型構造は変調構造(modulated structure)を示すが,それは低温型超格子構造を示すドメインが反位相の関係で集合した構造である。すなわち,超格子構造を示す領域(低温度に近い構造をもつ)とそれらの間の反位相境界領域(高温型に近い構造をもつ)が接した構造である。 このような高温型→中温型→低温型のプロセスを示し,しかも中温型が変調構造を示す場合は,固溶体結晶を示す鉱物にしばしばみられる。輝石の場合は完全ではないが,転移で一部それに近い過程をとることがわかった。斜長石の場合は,eー斜長石でその典型的な例がみられる。Na原子とCa原子が無秩序配列を示す高温型斜長石は,中温型のeー斜長石となる。この構造では,超格子構造のバンドがNa原子に富む低温アルバイトの,反位相境界領域のバンドはCaに富むアノ-サイトの構造をもち,それらが特定の方位に層状に配列している。さらに低温では完全に低温アルバイトとアノ-サイトに分解すると考えられる。 そのような一般的なプロセスが鉱物により,どのような特徴と変化を示すかは,これからの問題であるが,鉱物およびそれを含む隕石などの生成史を推定するために重要であり,今後一層の解明が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Morimoto,: "A new heating stage for transmission electron microscopy up to 1300℃" Mineralogical Journal. 14. 246-254 (1989)
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[Publications] N.Morimoto,: "Modulated Structure and vacancy ordering in mullite" Amer.Ceramic Society,Ceramic Transactions mullite volume. 6. 115-124 (1990)
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[Publications] 森本 信男: "造岩鉱物学" 東京大学出版会, 268 (1989)