1989 Fiscal Year Annual Research Report
レ-ザ-励起発光分析による二極スパッタリング過程の研究
Project/Area Number |
01550024
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
森川 滝太郎 東洋大学, 工学部, 教授 (80191013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 修二 東洋大学, 工学部, 助教授 (90120336)
柏木 邦宏 東洋大学, 工学部, 助教授 (30058094)
村山 洋一 東洋大学, 工学部, 教授 (40057956)
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Keywords | レ-ザ-励起発光分析 / スパッタリング過程 |
Research Abstract |
交流放電を用いた二極スパッタリング装置によって、半導体、絶縁体・超伝導体などの高品質薄膜を形成するためには、スパッタリング物質がタ-ゲットから飛散して基板に到達する過程における組成、粒径、空間分布などを把握することが不可欠である。本研究は、レ-ザ-励起発光分析によって、スパッタリング過程におけるこれらの内部パラメ-タを計測し、スパッタリング過程の外部パラメ-タ、すなわちガス流量、圧力、印加交流電圧、基板温度などを制御するのに必要な基礎デ-タを取得しようとするのである。タ-ゲット材料として酸化物高温超半導体Y-Ba-Cu-Oを用い、対向タ-ゲット間隔20mmでの放電電圧6KV、ガス圧0.4Torr(Arと0_2の分圧比9:1)、基板温度600^<°C>において薄膜を成長させた。その際の発光分析では、放電管側壁に設けた石英窓を通して管内発光部を結像しそこに置いた光ファイバ-ケ-ブル端面の上下動により、対向タ-ゲット部から基板部に及ぶ発光の空間分布を弁別できるようにして光を分光器に導入した。色素レ-ザ-は出力50kW、20Hz、可視域波長可変のものを使用し、その光は照射位置を放電管内の上下方向に移動できるようにして、逆に観測窓から導入した。交流放電励起発光スペクトル(繰り返し周波数100Hz)とレ-ザ-励起発光のスペクトル(繰り返し周波数20Hz)とは、分光器出力を増幅するロックインアンプ系で識別して計測した。その結果、放電励起発光の観測されない基板近傍におけるスパッタリング物質の組成と空間分布が、レ-ザ-励起発光によって明らかとなった。これを踏まえて、材料組成原子Y.Ba、Cuとそのイオンが酸素雰囲気中で酸化物YO BaO、CuOを形成するのは、放電発光部に限定されるものではなく、そこから基板に到達する過程での非発光状態も酸化物生成にとってかなり有効に働いていることが推論されるに至った。
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