1990 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシニングにおける最小切取り厚さとその支配要因
Project/Area Number |
01550096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島田 尚一 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029317)
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Keywords | 超精密切削 / 最小切取り厚さ / 微小切削 / 加工精度限界 / 切刃稜丸味 / 切くず分離点 |
Research Abstract |
本研究は、超精密切削加工における精度限界を決定するひとつの要因と考えられる、工具が工作物表面を安定して削り取り得る限界の厚さである最小切取り厚さについて、その大きさおよびそれを支配する要因を明らかにしようというもので、今年度の研究成果は次に示すとうりである。 1.試作した極微小切削実験装置の運動精度を詳細に評価した結果、主軸の回転精度、送りテ-ブルの直進精度共に10nm台の運動誤差を持っているものの、その再現性は1nm程度であり、ナノメ-トルレベルの切削実験が可能であることが明らかになった。 2.上記切削実験装置を用いて、銅およびアルミニウムの最小切取り厚さは、工具切刃が十分鋭利であれば、共に1nm程度であることを実験的に示した。また、アルミニウムの切削においては、切刃の損耗が著しいため、すぐに切刃稜丸味半径が大きくなり、見掛けの最小切取り厚さが大きくなることが明らかになった。 3.原子配列モデルを用い、非線形有限要素法を応用してナノメ-トルレベルの切削現象のシミュレ-ションを試みた結果、極微小切削機構の解明には、このような原子レベルでの解析手法が有効であること、銅やアルミニウムのような被削性の良い金属をダイヤモンド工具で切削する時の最小切取り厚さは、工具切刃稜丸味半径の約十分の一程度であることが明らかになった。
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[Publications] N.Ikawa,S.Shimada,N.Tanaka: "Minimum Thickness of Cut in Micromachining" Nanotechnology. 2. (1991)
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[Publications] N.Ikawa,S.Shimada,H.Tanaka,G.Ohmori: "An Atomistic Analysis of Nanometric Chip Removal as affected by ToolーWork Interaction in Diamond Turning" Annals of the CIRP. 40. (1991)