1990 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶ダイヤモンドバイトの切削性能に及ぼす結晶方位の影響
Project/Area Number |
01550101
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上神 謙次郎 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (50047180)
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Keywords | 単結晶ダイヤモンドバイト / 切削性能 / メルカト-ル表示法 / 切削力 / 工具すくい面・切りくず間摩擦係数 / 研磨面の摩擦係数 / 工具摩耗 |
Research Abstract |
本研究の目的は、単結晶ダイヤモンドバイトの最適結晶方位を探索することにある。 本年度(平成2年度)は当初の目的の1)の(b)であるバイト用ダイヤモンド原石の選別法の検討の続きと2)の(a)切りくず・工具間の摩擦係数とその工具のすくい面をダイヤモンド圧子で摩擦したときの摩擦係数の相関を調べ、工具の良否判定として用いることができるか検討した。そして、以下の成果を得た。 1.メルカト-ル表示法の提案。・・・工具の結晶方位を表示するのには、結晶面とその面内でどの方向に刃先を設定するかが問題になる。これらを表示するのに面指数、方向指数で工具の結晶方位を表していたのでは現実の工具の製作上非常に不便である。また、それらの工具の複数個のものについて比較検討するのにも適していない。そこで、ダイヤモンドは立方晶であり、結晶学的に等価な方位が多いから、ダイヤモンドの投影球の1/48に当たる三角球面をメルカト-ル法で表し、この内にすくい面を点で、刃先反対方向を矢印で表す方法を提案した。 2.六面体(人造)、八面体(天然)、十二面体(天然)のダイヤを各々四分割し、結晶方位が四種類の工具を一原石から作り、原石間の相違と結晶方位の相違が切削に及ぼす影響を調べた結果、原石の相違が工具性能に及ぼす影響はほとんど認められず、結晶方位の相違による影響はかなり大きいことが分かった。 3.切削実験による切削力から計算した工具すくい面と切りくず間の摩擦係数と、その工具のすくい面を切りくず流出方向にヴィッカ-ス圧子で摩擦して得られる摩擦係数とは逆の相関関係にあることが分かった。 4.ダイヤモンドの研磨面の摩擦実験を行うと共に、ダイヤモンドのへき開面のすべり系に作用する摩擦力から計算した摩擦係数の結晶方位による変化を、1.でのべた結晶面のメルカト-ル法表示図に画いて、よりすぐれた工具を計算によって探索できる手段の緒を見いだした。
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[Publications] 上神 謙次郎: "ダイヤモンド工具の研磨に関する研究(第2報)ー各種結晶方位のダイヤモンド工具による切削ー" 精密工学会誌. 第56巻. 1039-1045 (1990)
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[Publications] Kenjiro UEGAMI: "Cutting by SingleーCrystal Diamond Tools Oriented to Various Crystallographic Direction." Precision Engineering.
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[Publications] Kenjiro UEGAMI: "Consequence of Orientation on the Single Crystal Diamond Cutting Tool" The 6th IPES/2nd UME International Conference.
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[Publications] 張 光均: "ダイヤモンド工具の研磨に関する研究(第3報)ー単結晶ダイヤモンドの研磨特性ー" 精密工学会誌.
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[Publications] 上神 謙次郎: "ダイヤモンド工具の研磨に関する研究(第4報)ー各種結晶方位のダイヤモンド工具の摩毛ー" 精密工学会誌.