1990 Fiscal Year Annual Research Report
静圧気体ジャ-ナル軸受の回転精度特性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
01550115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢部 寛 京都大学, 工学部, 教授 (30025936)
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Keywords | 静圧気体軸受 / 回転精度 / 製作誤差 / 精度設計 / 軸受設計法 / 真円度誤差 |
Research Abstract |
本研究課題は,静圧気体ジャ-ナル軸受を対象にし,回転精度特性と軸受製作精度の関係を検討し,より高性能な気体軸受の精度設計の指針を明らかにすることを目的としたものであり,得られた主な成果は次のようにまとめられる。 1.点状給気孔からの拡がり効果を考慮に入れた,さきま内圧力分布を解析するためのダイバ-ジェンス・フォ-ミュレ-ション法を定式化し,これをもとに,各種製作誤差の影響を考慮に入れて軸受特性を解析するプログラムを開発した。 2.回転精度を支配すると考えられる軸受製作誤差として,軸の真円度誤差及び給気孔径寸法相互誤差をとりあげ,このような軸受系で,軸が回転したときに生じる気体膜力変動が起振力となって軸回転精度が低下すると考える軸受回転精度特性解析モデルを提案した。そして,軸回転速度が低い場合の「静的回転精度」と軸回転の影響を考慮した「動的回転精度」によって回転精度を把握し,両者の関係を明らかにした。 3.通常設計時に適用される軸受剛性を最大にするとの設計指針に従えば,これが同時に,回転精度特性からみた軸受精度設計の観点からもほゞ満足すべき条件になっていることを示した。 4.給気孔径寸法相互誤差は,軸の定常偏心量に影響するが,回転精度特性には第二義的にしか影響しないことを示した。 5.回転精度特性は軸の真円度誤差によって支配され,特に,軸真円度誤差分布をスペクトル分析したとき,給気孔ピッチに近い誤差波長成分の影響が大きいことを明らかにした。 以上のように,本研究で確立した手法より,回転精度からみた気体軸受の精度設計のための理論的背景を与えることができると考える。
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