1989 Fiscal Year Annual Research Report
食品凍結に関する基礎的研究(半透膜を通しての食塩水の凍結挙動)
Project/Area Number |
01550192
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
鳴海 明 神奈川工科大学, 工学部, 助教授 (50100764)
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Keywords | 食品凍結 / 食塩水 / 半透膜 / 矩形容器列 / 冷却・凍結挙動 / 過冷却 / レ-ザホログラフィ実時間法 / 数値計算 |
Research Abstract |
食品凍結を伝熱工学的に取り扱うための基礎研究として、次のような手順で研究を行った。まず、セル列の基本的要素として矩形容器、セル内の自由水を食塩水とみなし、容器高さを10〜30mmに変化させながら、食塩水濃度(0〜5wt%)による冷却特性・凍結挙動への影響を実験及び数値計算の両面から検討した。実験は温度場の推移をレ-ザホログラフィ実時間法により可視化測定し、その結果を踏まえて行った数値計算結果より、数値計算の妥当性についても検討を行った。その結果、食塩水濃度が大きいほど、容器高さが大きいほど、対流の影響が大きくなり、過冷却解除直前の熱伝達率は促進され、過冷度も小さくなることが分った。また、過冷却解除時の特徴として、水の場合ほぼ幅方向に平行にdense ice、また食塩水の場合幅中心部で下方向に拡がったdendrite iceと形成された氷の領域および質に差異が観察された。数値計算結果は実験結果と定性的にはよく一致した。 この結果を踏まえ、高さ30mmの矩形容器内に2枚の半透膜を仕切りとして設け、セル高さを各10mmとしたセル列の場合について同様な実験を行った。ここでは、仕切りとして、流体は移動できないが熱伝導率の高い銅板の場合、および仕切りがない場合についても同様な実験を行い、それらの結果を比較し半透膜を介しての特徴的冷却・凍結挙動を検討した。なお、前述の冷却実験はすべて食品凍結への応用を考え、冷媒の温度を-20℃で行った。しかし、そのため実時間法で得られた干渉縞は密すぎて読み取りできなかった。したがって、今後,縞の読み取りが可能なよう、より小さな冷却速度で前述の実験を行い、定量的な面から数値計算の妥当性を、また仕切りのある場合についての数値計算法も検討して行く予定である。
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