1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 勝 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40107397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北絛 準一 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (70013175)
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Keywords | 人工衛星 / 帯電 / 電子線 / 高真空 / 質量分析 |
Research Abstract |
今年度は研究の初年度であり、国際会議1件、及び国内学会全国大会に1件の口頭発表を行った。今年度の研究成果は次の通りである。 人工衛星の熱制御材料として使用されるテフロン、マイラ、カプトンの3種類の有機絶縁材料を実験の対象とした。これらの材料の各種の厚さのフィルムに、静止軌道上の条件を模擬するために高真空容器中で電子線を照射し、フィルムに蓄積した電荷が自己放電を開始する照射条件、表面電位、フィルムの厚さの相互関係を、特にテフロンについて実験的に求めた。自己放電には貫通破壊と沿面放電の2つのモ-ドがある。発生できる電子線エネルギ-0〜27keVの範囲では、25μmの厚さのフィルムにおいてのみ貫通破壊が生じた。表面電位から推定した、貫通破壊条件を与える材料内部の最大電界は、テフロンにおいて4〜5MV/cmで、真空中で電極を用いて測定した直流貫通破壊電圧から求めた条件とほぼ一致した。沿面放電条件は材料の厚さのほか、材料と金属製の押え枠の接する点の条件に大きく依存することがわかり、引続き検討中である。 自己放電時にはガス分子が放出され、圧力が上昇する。放出ガスの分子種の質量分析を行った結果、種類については2つの放電モ-ドにおいてほとんど差がなかった。材料の構成分子の他、2酸化炭素が全ての材料において認められたが、酸素を構成分子中に含まないテフロンにおいてもそれが検出されたことは、表面に吸着されているガス分子が放電の過程にかなり関わっている可能性を意味する。 放電に伴う可視光をカラ-静止写真で観察した。放電光は青色で、フィルム端部の金属製押え枠から放電路が伸びる。押え枠に流入する電流と、フィルムの背後電極で測定される変異電流の差は、空間に放出されるブロ-オフ電流になっていると思われるが、静止写真にもブロ-オフの電子流に対応する位置に青色光が認められた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Ishii,E.Tsumura,Y.Hojo,J.Otani: "Discharge characteristics of polymer films irradiated by electron beam." Proc.6th Int.Symp.on High Voltage Engineering,New Orleans. 13.29 (1989)