1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550237
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
奥山 克郎 山形大学, 工学部, 教授 (70007011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 重利 山形大学, 工学部, 助教授 (40124557)
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Keywords | ステアリン酸カルシウム薄膜 / イオン化蒸着 / 分子配向制御 / 沿面電界効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、真空蒸着法により形成される直鎖有機分子薄膜の分子配向を、蒸着中基板沿面に印可した電界により制御する可能性を明らかにすることである。 本年度は、NaCl基板およびガラス基板に、面方向に10〜500v/cmの電界を印加してステアリン酸カルシウムの真空蒸着を試みた。その際ステアリン酸カルシウム蒸気に、熱電子を加速照射し、0.1%程度のイオン化を行った場合と、中性蒸気による蒸気による蒸着の場合について比較検討した。 (1)NaCl基板の[110]方向に、100〜200v/cmの電界を電界を印加しつつ、中性ステアリン酸蒸気による蒸着を行った場合は、ステアリン酸蒸着膜の結晶配向は、無電界の場合と全く変わらず、基板温度が50℃以下では、ステアリン酸カルシウム(110),[110]/NaCl(001),〈110〉のエピ成長であった。(2)蒸気を一部イオン化して蒸着した場合は、電界によりステアリン酸カルシウムの針状結晶は、弓状あるいは円弧状に曲げられることが分かった。(3)この傾向は、基板面の負電極の側で著しく、正にイオン化したステアリン酸カルシウムによる効果であることを示唆している。(4)ガラス基板を用いて同様の実験を試みた。30v/cmの電界を基板面に平行に印加して、一部イオン化したステアリン酸カルシウムを蒸着したところ、数mm^2の広さで針状結晶が電界と垂直に配向している例を見い出した。すなわち、ステアリン酸カルシウム分子の長鎖が電界と平行に配向していることを意味する。しかし、実験をくり返しているが、この結果の再現性が得られていない。電界強度を500v/cmまで変えて実験を行っても、前述の例のような顕著な効果が現れていない。(5)一部イオン化した蒸気と沿面電界の組合せは、有機分子の配向に影響があることは確かと思われ、今後実験条件を再検討しながら、研究を継続したい。
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