1989 Fiscal Year Annual Research Report
局所的ヘリカル磁気異方性の誘導によるバルクハウゼン跳躍センサ素子の開発
Project/Area Number |
01550251
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山崎 二郎 九州工業大学, 工学部, 教授 (40108668)
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Keywords | アモルファス磁性体 / バルクハウゼン跳躍 / 磁壁ピンニング / 磁気異方性 |
Research Abstract |
局所的ヘリカル異方性の誘導によるバルクハウゼン跳躍センサ-素子を高出力が期待されるアモルファスリボンで実現するため新しく開発したマイクロ磁気光学顕微鏡を使用して、異方性付与による磁壁ピンニングのメカニズムを微視的な観点から検討した。その結果、以下の新しい知見が得られた。 (1)アモルファス磁性体の磁壁厚みは2μm程度であり、結晶質磁性体の磁壁厚みに比べて一桁程大きい。この原因はアモルファス相の長距離秩序の欠如に基ずくマクロ異方性の消失によるものである。両者の磁壁厚みの比較から、アモルファス相のミクロな異方性の寄与は結晶相の1/50程度であり、この結果磁壁エネルギ-は1/10程に低下する。磁壁厚みが大きいにもかかわらず、アモルファス磁性体がソフトな磁性を示す原因は磁壁エネルギ-が低いことによるものと推測される。 (2)アモルファス磁性体に短時間の熱処理を施せば、熱処理の間、磁壁が存在した部分は、磁壁のピンニングサイトになると共に、逆磁区の発生核となる結果、大バルクハウゼン跳躍特性が得られる。ピンニング磁壁の厚みは熱処理前に比較し2倍程拡大する。磁壁厚みの増加は、ヘリカル異方性の誘導により、磁壁内部の異方性エネルギ-が低下する結果ひきおこされるものであり、この結果、磁壁が存在した場所ではポテンシャルエネルギ-が1/2に低下し、逆磁区生成核、ピンニングサイトとなる。 (3)アモルファス磁性体の磁壁は、従来考えられていたものと異なり、閉磁路状のアンシンメトリ-構造を有する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] R.Schafer,W.H.Ho,J.Yamasaki,A.Hubert F.B.Humphrey: "Anisotropy pinning of domain walla in soft magnetic Material" IEEE Transaction on Magnetics.