1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550331
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
榊原 学 豊橋技術科学大学, 情報工学系, 助教授 (10135379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池野 英利 舞鶴工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (80176114)
臼井 支朗 豊橋技術科学大学, 情報工学系, 教授 (40023337)
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Keywords | 連想学習・記憶 / 神経機構 / イオン電流 / ホジキン・ハクスレ-方程式 / ウミウシ視細胞 |
Research Abstract |
本研究は生物の神経系における情報処理様式を工学的に実現し、ニュ-ロコンピュ-タの計算原理を確立することをめざしている。このためウミウシの連想学習・記憶に着目し、その情報処理過程を生物学的に忠実なモデルで数理記述することを目的とした。その第一段階として、学習情報が蓄積されるB型視細胞について電気生理実験より得られるデ-タを基礎としてホジキン・ハクスレ-型の連立微分方程式によりモデル化を進めた。B型視細胞にはこれまでの実験からカリウム,カルシウム,ナトリウム性の各電圧依存性イオン電流が定性的に確認されていたが、これら電流を膜電位固定法によって各成分を分離、抽出し、それぞれを並列要素とする等価回路で記述した。カリウム電流については活性化時定数、電圧依存性の違いからI_A,I_C,I^kの3種の電流が知られており、それら成分についても独立に記述した。また実験測定系をもモデル化することによりシミュレ-ション結果と実験結果の対応ずけが容易になった。連想学習を獲得した動物のB型視細胞では、3種のイオン電流中2種のカリウム電流 (I_A,I_C)だけが有意に減少するが、これをモデル中でそれぞれのカリウムコンダクタンスの減少として表わした。このようにして得られたB型視細胞のモデルは膜電位に依存するイオン電流を正確に表現するものであるが、この結果を基礎として光応答を再構成したところ、学習によるI_cの不活性化により光応答の第2成分が増大することが予測された。学習による光応答の変化はこれまで報告されていなかったが、今回のシミュレ-ション結果をうけて動物実験を行ない、これを確認した。本研究では学習、記憶に関わる素子としてB型視細胞の性質を解析的に明らかにしたが、今後B型視細胞と機能的に連絡している他の神経細胞との結合様式を明らかにし、神経回路網として学習・記憶がどのように表現されるか研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 池野英利: "イオン電流に基づくウミウシ視細胞応答の再構成" 電子情報通信学会論文誌DーII. J72ーDーII. 2094-2102 (1989)
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[Publications] M.Sakakibara: "Reconstruction of Ionic Currents in a Molluscan Photoreceptor" Biophysical Journal.
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[Publications] M.Sakakibara: "VISION,MEMORY,AND TEMPORAL LOBE" Elsevier Publishing Co.,