1990 Fiscal Year Annual Research Report
パラメ-タ空間安定解析法の再考(カリトノフ型定理の開発とその応用)
Project/Area Number |
01550332
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 武宏 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026359)
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Keywords | 安定解析法 / パラメ-タ空間 / ロバスト安定性 / カリトノフ定理 |
Research Abstract |
制御システムの数学モデルは大別すると,状態空間モデル,周波数領域モデルの二通りがある。これらの表現の各々に対して,本研究では所期の目的に沿った幾つかの具体的な成果を得た。そのあらましを次に示す。 1.システムの安定解析に非常に関連の深い行列クラスとして,P行列,M行列と呼ばれる実行列のクラスが挙ゲられる。行列のポリト-プがこれらのクラスに属する条件について検討を加えた。この場合,条件を正確な形で入手するのは一般に困難であるが,適当な拘束条件のもとではこれが可能であることが見い出された。また,一般の場合についても,幾つかの十分条件を提示した。 2.与えられた名目システム(行列)に対して加法的なパラメ-タ変動が加わるとき,安定性が維持されるために許されるシステムのクラスは一体どのようなものであろうかという疑問に答えた。そこで用いられた方法はリヤプノフの第2法である。さらに,得られた結果の具体的なロバスト安定解析問題への応用例も幾つか掲げた。 3.カリトノフの定理のシステム解析における有用性をさらに高めるため,区間多項式において端点多項式の次数低下が生じたとき同定理がなお並行して成立するか否かを吟味した。それによると,結果はほゞ肯定的といってもよい。この結果は特異摂動系の解析に有用である。 4.区間多項式を対象にしてカリトノフ型の定理が成り立つような根分布領域が複素左半平面以外にも存在するか否かを検討した。それによると,同平面の虚軸,左半及び右半実軸がそのような領域であることが判明した。いずれもわずか2つの端点多項式の該当領域への根分布を確かめることが必要かつ十分である。 以上の成果をもとに,現在計算機を援用した実用的な安定解析法の開発が進められている。
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[Publications] 森 武宏: "行列ポリト-プがP(M)行列である条件" 電気学会論文誌. 100ーC. 273-278 (1990)
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[Publications] 森 武宏: "2次形式リヤプノフ関数を共有する線形連続時間システムの特徴づけ" 電子情報通信学会論文誌. J72ーA. 1520-1522 (1990)
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[Publications] 森 武宏: "零端点係数をもつ区間多項式の安定性ーKharitonovの定理成立の吟味" システム制御情報学会論文誌. 3. 335-337 (1990)
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[Publications] Takehiro Mori: "Aperiodicity and periodicity of interval polynomials" Proc.of the 1990 Conference on Decision & Control. 39-40 (1990)