1989 Fiscal Year Annual Research Report
フォ-ルト トレラントな制御系の設計理論に関する研究
Project/Area Number |
01550344
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
示村 悦二郎 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80063585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 健康 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80063808)
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Keywords | フォ-ルトトレラント制御 / パラメ-タ変動 / むだ時間系 / リアプノフ方程式 |
Research Abstract |
本研究の目的は、故障が発生しても制御系が不安定にならないように、さらに制御性能も極度に低下しないように、しかも出来るだけ簡単な構造をもつ制御系の設計理論を確立することにある。本年度の研究実施計画のうち、当初は余裕があれば予備的考察を行うとしていた「むだ時間系への拡張」に、有力な突破口が見つかったので、こちらに集中的に力を注いだ。その結果、システムの故障の結果をシステムの数式モデルにおけるパラメ-タ変動としてとらえ、パラメ-タに変動を生じても安定性が損なわれない条件を明らかにした。以下にこの結果の概要を述べる。 本研究では、むだ時間を含む系におけるリアプノフ作用素方程式の性質に基づき、ノミナルな制御系の集中定数部分および分布むだ時間要素に生じるパラメ-タ変動と系の安定性の関係について考察した。ノミナルな系に生じるパラメ-タ変動を有界な作用素により記述し、パラメ-タ変動に対する安定条件をリアプノフ作用素方程式の性質から導いた。つぎに、作用素で表したパラメ-タ変動に対する安定条件が、ある有限次元の行列の固有値に関する条件に帰着出来ることを示し、パラメ-タ変動に対するより実際的な安定条件を求めた。そしてこれらの結果から、系が安定性を保つ上で許容されるパラメ-タの変動範囲を導き、許容変動範囲の効果的な評価法を検討した。 以上の結果は、むだ時間系を含むより広いクラスの問題への統一的理論を展開する基礎を固める方向をも与えている。またこれらの結果は、本研究のごく最近の成果である、H-無限大制御に基づくむだ時間系のフォ-ルトトレラントな制御系の構成法と融合させることにより、より高度な設計法となる可能性も示唆している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 藤田政之: "ロバストサ-ボ系におけるインテグリティ" 電気学会論文誌C. 109. 424-431 (1989)
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[Publications] 示村悦二郎: "むだ時間を含む系に対する有限次元補償器の設計" 計測自動制御学会論文集. 25-7. 818-820 (1989)
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[Publications] 川崎直哉: "指定極のみを移動するLQ問題の重みに関する一考察" 計測自動制御学会論文集. 25-11. 1248-1250 (1989)
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[Publications] Uchida,K.: "On the Central Controller:Characterizations via Differential Games and LEQG Control Problems" Systems & Control Letters. 13-1. (1989)
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[Publications] 児島晃: "むだ時間を含む系におけるロバスト安定性の解析" 計測自動制御学会論文集. 26-1. 31-38 (1990)
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[Publications] Fujita,M.: "Gain Perturbation Tolelance in H^∞ State Feedback Control" to appear in International Journal of Control.
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[Publications] Kojima,A.: "An Analysis of Robust Stability for Time Delay Systems Based on Lyapunov Type Operator Equation" to appear in International Journal of Control.
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[Publications] Uchida,K.: "Design of Controller with Asymptotic Disturbance Attenuation" Proc.of MTNS-89 to be published by Birklhauser.