1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550345
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
松原 正一 大同工業大学, 工学部, 教授 (60022969)
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Keywords | 誘導電動機 / 安定性 / Routhの安定判別法 / 分岐理論 / 接線分岐 / Hopf分岐 |
Research Abstract |
前年度には誘導電動機の磁気飽和を無視した場合について周波数・すべり・負荷トルクの3個のパラメ-タの空間における平衡点の分岐集合の構造と平衡点の動的な性質を明らかにする研究を完了したので,本年度はこれに対する磁気飽和の影響を明らかにすることを目標として研究を行った.なお,前年度の研究において,本研究の対象としている不安定現象の直接原因はインバ-タではなく,誘導電動機自体にあることが明らかになったため,現象の本質に重点をおく立場から,本年度の研究も可変振幅・可変周波数の正弦波電圧で駆動する場合について行うことにした. トルク・速度特性の最大点の軌跡であり,したがって静的安定領域と静的不安定領域の境界をなす接線分岐集合は,磁気飽和を無視した場合には周波数・すべり平面に垂直であったが,磁気飽和の影響によって,この集合はこの平面に垂直ではなくなり,かつ静的安定領域が拡大する方向に変形することが明らかになった. 動的不安定領域の境界をなすHopf分岐集合は,磁気飽和を無視した場合には周波数・すべり平面に平行な断面がバナナ形の第1多様体のみから成っていたのに対して,磁気飽和の影響によって第1多様体はしだいに収縮し,その低すべり側に断面がバナナ形の第2多様体と断面が弓形で,その弦がすべり0の平面に限りなく近い第3多様体が現れ,飽和が強くなるにつれて高すべり側に移ることが明らかになった. 以上によって,誘導電動機の平衡点の分岐集合の構造が磁気飽和の影響も含めて明確になったが,これらの結果は今日,可変速度の電動力系統に広く採用されているインバ-タ・誘導電動機系の運転において大域的な安定性を確保するための安定化制御系の設計に有用な指針を与えるものと考えられる.
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Research Products
(1 results)