1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550386
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 徹 京都大学, 防災研究所, 教授 (20027212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助手 (00166109)
八嶋 厚 京都大学, 防災研究所, 助手 (90144394)
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Keywords | 防波堤 / 海底地盤 / 沈下 / 側方流動 / 有限要素法 / 波力 / 安定管理 |
Research Abstract |
本年度は、波浪による海底地盤の不安定現象に関する基礎的な実験と、実際に行われた防波堤復旧工事に伴う海底基礎地盤の安定解析を実施し、以下のような結果を得た。 波浪による海底地盤の不安定現象の解明については、室内三軸セル内に作製した砂および粘土地盤に、応力として波圧を載荷することによる過剰間隙水圧発生、消散のメカニズムとその時間ずれに起因して発生する海底地盤の不安定化に関する基礎的実験を実施し、地盤内の水圧伝播挙動に関する基礎的な知見が得られた。現在さらに現実的な問題に対処するため、遠心力載荷装置を用いたモデル実験の実施を計画している。 一方、1987年8月の台風12号による高波によって甚大な被害を受けた新長崎漁港南防波堤の復旧工事に際し、防波堤基礎地盤の変形と安定性を、二次元弾・粘塑性有限要素法を用いて検討した。当地区は五島灘に港口を開いた地形であるため、再び大きな外洋波が襲う危険がある。したがって、復旧工事では、これに抵抗するために防波堤の断面を拡大し、かつ非常に短期間のうちに完成させなければならないという状況にあった。このため、無処理の軟弱海底地盤に捨石や消波ブロックの大きな荷重が急速に載荷されることによる基礎地盤の大きな変形の発生と破壊が懸念されていた。解析結果によれば、消波ブロック施工時にやや不安定な挙動を示すものの、防波堤基礎地盤は施工期間を通じて安定的に推移し、完成に至ることが予測された。工事に伴って実施された変位計測結果は概ね解析結果と一致し、防波堤は1989年3月に竣工した。また当工事に際しては、この解析結果に基づき、安定管理図(沈下〜側方変位関係)による施工管理が行われ、その有用性が実際の工事を通じて確かめられた。
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Research Products
(2 results)