1990 Fiscal Year Annual Research Report
帰着便益連関分析に基づく公共交通プロジェクト費用負担の方法論に関する研究
Project/Area Number |
01550415
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
森杉 壽芳 岐阜大学, 工学部, 教授 (80026161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 栄治 岐阜大学, 工学部, 助手 (50175246)
宮城 俊彦 岐阜大学, 工学部, 教授 (20092968)
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Keywords | 帰着便益連関表 / プロジェクト評価 / 開発利益還元 / 市場均衡 / ランダム効用理論 / ショ-トカット理論 / 消費者余剰 / 等価的偏差 |
Research Abstract |
本研究期間は2年間であり、平成2年度は最終年度にあたる。本年度は、初年度で確立した帰着便益連関分析理論の適用を中心に行い、以下の成果を得た。 まず、公共交通プロジェクトの財源調達に関する現状を十分に認識した上で、初年度に構築した帰着便益連関表に基づく費用負担の方法論を提案した。 次に、初年度に構築したモデルを用いて、岐阜市環状線の建設プロジェクト(現在一部未完成)による各経済主体の帰着便益を測定し、帰着便益連関表を作成した。その結果、社会的プロジェクト便益および費用を用いることにより、当該プロジェクトの社会的効率性を検討することができた。また、主体別帰着便益を明らかにすることにより、プロジェクト便益の資産価値(地価)への帰着度合がわかり、それより当該地域のsmallーopen度を知ることができた。さらに、地域別主体別帰着便益を明らかにすることにより、当該プロジェクトの社会的公平性を検討することができた。 以上が本研究の主な結論であるが、次のような課題が残されている。すなわち、便益計測モデルに組み込まれている社会経済予測モデルが静的であり、プロジェクトによる新たな均衡状態への移行が瞬時になされてしまうが、現実には、物価上昇、資産価値上昇等はプロジェクトの実施から任意のタイムラグをおいて経年的に発生するものであると考えられるので、モデル構築に際しては時間軸を考慮して動学化を図る必要がある。一方、本研究の便益計測がwith and without分析に基づいていることから、モデルの動学化は便益の動的計測にもつながるものと考えられる。
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[Publications] 森杉 壽芳: "Measuring Landowners'Share of Total Road Benefits" Proceedings of Seminar H held at the PTRC Transport and Planning Summer Annual Meeting. 33-44 (1990)
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[Publications] 森杉 壽芳: "Benefit Incidence of Urban Ring RoadーTheory and Case Study of the Gifu Ring Roadー" Paper Presented at the 3rd International Congress of the World Association of the Major Metropolises. (1990)
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[Publications] 森杉 壽芳: "Transport Benefit Evaluation with InterーCity MigrationーProposal of a Shortcut Methodー" Paper Presented at the 4th Applied Regional Science Conference. (1990)
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[Publications] 宮城 俊彦: "不動点アルゴリズムによる交通均衡の計算法" 日本地域学会平成2年度(第27回)年次大会. (1990)
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[Publications] 森杉 壽芳: "住環境整備による住み替え便益の定義と計測モデル" 土木学会論文集. 425/IVー14. 117-125 (1991)
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[Publications] 森杉 壽芳: "A Benefit Incidence Matrix for Urban Transport Improvement" Papers in Regional Science:Journal of the Regional Science Association International.