1989 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルフ場で散布される農薬の運命予測と水源水質および健康に与える影響の評価
Project/Area Number |
01550425
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
盛岡 通 大阪大学, 工学部環境工学科, 助教授 (30029350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 実 大阪市立環境科学研究所, 環境分析課, 研究員 (70167617)
東海 明宏 大阪大学, 工学部環境工学科, 助手 (90207522)
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Keywords | 農薬 / 健康リスク / 運命予測 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
本研究は、ゴルフ場で使用される農薬を例として飲料水経由で摂取する農薬による健康リスクの評価をおこなった。除草剤、殺虫剤、殺菌剤のそれぞれの指標目標としシマジン、ダイアジノン、ダコニ-ルをとりあげた。本研究の内容はおおきくは5段階にわけられる。それらは順に、農薬の環境進入量の推定、環境運命予測、曝露量推定、リスク推定リスク回避のための代替案評価からなる。農薬の環境への進入する割合(流出率)は、しばしば流域の地形上・スケ-ル上の要因に、また観測条件に左右されるため、試験流域を定め、シマジンの雨天時流出観測をおこなった。一回毎の降雨後の流末端での観測を複数回おこない、シマジンに関して現存量と降雨量に対する比例定数として、3.8×10^<-3>(1/mm)という値を得た。他の物質に関しては土壌中有機性炭素と間隙水との平衡分配を考慮して推定した。 運命予測の定式化にあたってはゴルフ場、貯蓄池を水・大気・土壌のコンパ-トメントにわけそこでの農薬の収支式を流入、流出、分解、揮発、沈澱のメカニズムで表現し、流域末端に位置するダム湖水中での農薬濃度についての定常解をもとめた。なお、同時に降雨パタ-ンに応じた流出をも運命予測の範囲に組み入れた水質流出モデルの計算も併用した。 曝露される人の特性として大人と子供をとりあげ、子供は高感受性集団の代表とみなした。 農薬の毒性の発現形態については、いき値のある反応を慢性影響と、発癌をとりあげた。農薬の慢性毒性については、各物質のADIに対する計算した1日曝露量の比の値によって推定した。また発癌確立の推定にあたっては、低濃度外挿のモデル(ここではワン・ヒットモデル)をもちいて発癌リスクを推定した。以上の過程をパ-ソナルコンピュ-タ-上のプログラムにて計算できるシステムとして組み上げた。
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