1989 Fiscal Year Annual Research Report
都市域における高濃度大気汚染の出現メカニズムと制御に関する研究
Project/Area Number |
01550431
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
若松 伸司 国立公害研究所, 大気環境部, 主任研究員 (70109502)
|
Keywords | 都市大気保全 / 高濃度大気汚染 / 複合大気汚染 / 大気汚染予測モデル / 感度解析 / 大気汚染制御 / 光化学大気汚染 / 窒素酸化物汚染 |
Research Abstract |
本研究においては、我国における高濃度大気汚染の出現メカニズムを解析し、各地域における特徴を明らかにすることと、その知見に基いて出現形態の普遍的な部分と特殊な部分とを示し、それぞれの地域の特殊性を考慮した大気汚染予測、制御モデルの運用方法を確立することを大きな目標としている。このため平成元年度においては、日本全国のデ-タを10年間にわたり解析し、そのトレンドを明らかにするとともに、特に高濃度が出現する東京首都圏地域において大気汚染予測モデルを運用し、窒素酸化物、炭化水素成分、光化学オゾンの相互関連性を解析した。本年度は移流、拡散、反応を含む三次元モデルの感度解析を中心に研究を行った。先ず最初に炭化水素の発生源組成分布が予測結果に及ぼす影響を知るために異った初期条件、境界条件に対して日本とアメリカの二種類の組成分布を用いて濃度解析を行ったが光化学オゾン濃度に及ぼす影響は小さかった。次いで境界条件が変化した時の検討を行った。解析の結果気流場が複雑な場合には境界条件の設定の仕方がオゾン濃度の時、空間分布に大きく影響を及ぼすことがわかった。その影響は特にモデルの領域の端の部分で顕著であるとの結果が得られた。これは海陸風循環により一度モデルの系外に流出した汚染物質をモデル計算に適切に取り込むことの重要性を示している。 今後は、今年度確立したモデル計算設定条件を用いて計算を行い、各種発生源からの大気汚染物質発生量を変化させた時に、環境大気中における大気汚染物質濃度がどのような時間、空間分布をするのかといった点について検討をすすめる。
|
-
[Publications] S.Wakamatsu,I.Uno,H.Ueda K.Uehara and H.Tateishi: "Observational Study of Stratospheric Ozone Intrusions into the Lower Troposphere." Atmospheric Environment. 23. 1815-1826 (1989)
-
[Publications] S.Wakamatsu,I.Uno and M.Suzuki: "A Field Study of Photochemical Smog Formation Under Stagnant Meteorological Condition" Atmospheric Environment. 24. (1-14) (1990)
-
[Publications] 若松伸司,鵜野伊津志,須山芳明,阿相敏明,牧野宏: "飛行船を利用した大気汚染物質分布の観測" 大気汚染学会誌. 25. 97-101 (1990)
-
[Publications] 大原利眞,鵜野伊津志,若松伸司: "陸風前線通過に伴うNOx高濃度汚染現象の観測" 大気汚染学会誌. 25. 66-76 (1990)
-
[Publications] 鵜野伊津志,植田洋匡,若松伸司: "夜間の都市域におけるNO_2高濃度発現メカニズム" 大気汚染学会誌. 24. 130-143 (1989)
-
[Publications] S.Wakamatsu,I.Uno and K.L.Schere: "Application of a threeーdimensional photochemical smog formation model to the Tokyo Metropolitan area." Air Pollution Modeling and it's Application(Edited by Han vau Dop,Plenum Publishing Corporation). VI. 259-270 (1988)