1991 Fiscal Year Annual Research Report
都市域における高濃大気汚染の出現メカニズムと制御に関する研究
Project/Area Number |
01550431
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Research Institution | National Institution for Environmental Studies |
Principal Investigator |
若松 伸司 国立環境研究所, 地域環境研究グループ・都市大気保全研究チーム, 総合研究官 (70109502)
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Keywords | 都市大気汚染 / 光化学大気汚染 / 窒素酸化物 / 大気汚染モデル |
Research Abstract |
都市域における窒素酸化物,光化学オキシダント,粒子状物質等による大気汚染は都市機能の高度化に伴いますます大きな問題となっている。特に冬期におけるNO_2汚染は急速に悪化の傾向にある。今年度はこの冬期の高濃度NO_2汚染の特微を大気汚染常時監視デ-タと光化学ボックスモデルによる反応計算により検討した。デ-タ解析からNO,NO_2,O_3の高濃度日における時刻変化の特徴を解析し,晴天日と曇天日の違いを明らかにするとともに,この特徴を光化学ボックスモデルで再現する事が出来た。更にこのモデル計算において各種のパラメ-タ-を変化させる事により以下の結論が得られた。 (1)晴天日におけるNOからNO_2への酸化のメカニズムとしては,午前中は混合層の発達に伴い上空から取り込まれるバックグランドO_3の寄与が大きく午後には光化学反応による寄与が大きい。 (2)その寄与の割合いは,11時から12時の平均値として,一次排出,バックグランドO_3,光化学反応はそれぞれ41%,46%,13%程度でバックグランドO_3の効果が大きいのに対し、15時から16時の平均値としては,同様に21%,33%,46%となり光化学反応による寄与が最大となる。 (3)モデル計算の結果から冬期であっても光化学反応による二次汚染物質の生成が重要であり,日射量の多い場合には日中には光化学反応によりNOxの約7%程度がPANやHNO_3へ変質し、日中のNO_2を減少させるとともに,ラジカルを含むこれら二次生成物質が、夕方におけるNOの酸化を促進する事などが明らかとなった。 今回の結果は,ある限定された初期条件下のものであるが,今後は,モデルを三次元に拡張し各種の発生源,気象条件下での計算を行いより定量的な議論を行うことが重要であろうと考える。(以上)
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[Publications] Shinji Wakamatsu,Itsushi Uno and R.I.Wadden: "Specification of source characteristics for ozone prediction in a complex airshed." Air Pollution Modeling and Its Application Vlll,Edited by H.Van Dop and D.G.Steyn,Plenum Press,New York.15. 453-462 (1991)
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[Publications] 大原 利眞,酒巻 史郎,秋元 肇,植田 洋匡,若松 伸司: "スモッグチャンバ-デ-タによる光化学反応モデルの比較検討" 大気汚染学会誌. 26. 246-259 (1991)
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[Publications] 山下 敬則,森 淳子,本多 雅幸,鵜野 伊津志,若松 伸司: "長崎県における高濃度SO_2汚染の解析" 大気汚染学会誌. 26. 320-332 (1991)
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[Publications] Shinji Wakamatsu and K.L.Schere: "A Study using a three dimensional photochemical smog formation model under conditions of complex flow" US-EPA(EPA/600/3-91/015), 84 (1991)