1989 Fiscal Year Annual Research Report
実応答記録による免震構造物の振動システムに関する研究
Project/Area Number |
01550435
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和泉 正哲 東北大学, 工学部, 教授 (10005506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 希晶 東北大学, 工学部, 助手 (80125632)
栗田 哲 東北大学, 工学部, 助教授 (90195553)
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Keywords | 免震構造 / 地震応答観測 / 応答振幅依存特性 / 温度依存特性 |
Research Abstract |
本研究は、実際の免震構造物の振動性状を実デ-タをもとに扱ったものであり、以下の各点が特色である。(1)隣接する全く同型の非免震構造物と直接比較を行った。(2)特性の異なる2種類の免震装置(積層ゴム+オイルダンパ-型と高減衰積層ゴム型)を試験し、比較を行った。(3)地震応答時の特性を、工事振動入力や常時微動等の観測および各種試験と比較した。(4)特性の時刻変動および長期的な変化を捉えられる一連の手法を用い、確定的には扱えない振動システムの特性を検討した。以上により明らかになった点を以下に挙げる。 1.ロッキングが主となる2次振動は、かなりのエネルギ-を持つにもかかわらず安定した振動システムとして捉えにくく、しかもモ-ド形が積層ゴムの上下変形を伴うため、重要である。また非免震と比較して免震は地盤と上部構造の相互作用が希薄であることが確認され、限界近くでの逸散減衰の効果は得にくいことが予想された。 2.免震構造物の固有振動特性は明確な振幅依存性を持ち、ある地震の間も入力レベルに応じて明確に変化する。オイルダンパ-型は微小地震程度を境に著しく特性が異なり、大振幅で免震効果が安定する。従って常時微動では剛性はかなり過大、減衰は過少評価される。微小振動の遮断効果もあまり高くない。ただしこれらはダンパ-固有の特性と考えられる。高減衰積層ゴム型は、これに比して振幅に対する変化は緩やかであるが、同程度の明確な温度依存特性を示し、冬期は剛性が大きめになる。地震時の特性は、大振幅の実験と常時微動時の特性を内挿している。 3.上記の振動システムの変動と入力の変動により免震効果が左右されることを、最大加速度だけでなくエネルギ-比などのいくつかの指標を用いて示した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Izumi,M.,Tobita,J.,Kurosawa,I.,Miyazawa,F.,Kubota,K.: "Earthquake Response Characteristics of Base-Isolated Buildings By Direct Comparison with a Non-Isolated One" 東北大学建築学報. 第29号. (1990)
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[Publications] Izumi,M,Kurita,S.,Tobita,J.: "Measured Earthquake Response of Base-Isolated Buildings in Japan and Some Related Analysis." International Meeting on Base Isolation and Passive Energy Dissipation,Assisi,Italy.(1989)
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[Publications] 宮沢文夫,和泉正哲,飛田潤,黒沢到: "高減衰積層ゴムを用いた免震構造物の地震時における振動特性の振幅及び温度依存性" 日本建築学会大会学術講演梗概集. vol.B. 469-470 (1989)
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[Publications] 和泉正哲,飛田潤,黒沢到,宮沢文夫: "工事振動入力時における免震構造物の応答について" 日本建築学会東北支部研究報告集. 第52号. 283-286 (1989)