1989 Fiscal Year Annual Research Report
石造文化財における経年変化の定量的解析に関する研究
Project/Area Number |
01550486
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
内田 昭人 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (90142017)
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Keywords | 石造文化財 / 岩壁彫刻 / 経年変化 / 挙動 / 変位 |
Research Abstract |
1.石造文化財関連資料の収集ー:古墳の石室、城の石垣、磨崖仏、岩壁彫刻等の石造文化財に次いて、構造・材質を主体とした文献資料を収集し、解析を行った。今年度の現地踏査については、大谷磨崖仏(栃木県宇都宮市)、熊野磨崖仏(大分県豊後高田市)、臼杵磨崖仏(大分県臼杵市)、八幡山古墳石室・埼玉古墳群(埼玉県行田市)に赴き、構造・材質調査を実施するとともに、関連資料の収集を行った。磨崖仏について石像背面からの水の浸透が崩壊の大きな要因となっており、この制御方法についても現在課題として研究中である。 2.岩壁遺構の経年変化ー:北海道小樽市にある史跡手宮洞窟に岩壁彫刻として陰刻が施されている。この陰刻を含む岩体に亀裂が生じ、剥離・崩壊が進行している。今年度は、この陰刻面の亀裂進行の経年的な変化と挙動の測定を開始した。覆屋内部の既存のコンクリ-ト床面を不動点とし、この上に鉄骨の架台を設置、ここにパイ型変位計の9基、高感度型変位計6基、温湿度計2基(覆屋の内部と外部)を取り付けて現在測定を継続中である。同時にこれらのデ-タをコンピュ-タに取り込み電算処理を行って解析を実施している。 3.石積遺稿構の経年変化の解析ー:岩手県盛岡市にある盛岡城石垣の断面構造を例にとり、従来から実施している経年変化の測定結果や、各種構造調査の成果を、今年度の科学研究費により購入したコンピュ-タに取り込み、長期及び短期における地震力に対する構造安定性についての解析を実施中である。
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