1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550518
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Research Institution | Mining College Akita University |
Principal Investigator |
田口 昇 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (80006650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 崇穂 秋田大学, 鉱山学部, 助手 (10006687)
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Keywords | 各種鉄鉱石 / ほう砂フラックス / 溶融・凝固 / 酸化鉄高純度化 |
Research Abstract |
当該年度の研究では、Na_2O・2B_2O_3ーFe_2O_32元系状態図の作成実験を行った。状態図の作成では、示差熱分析法を用い、各組成の試料の吸熱開始温度(溶融開始温度)と発熱開始温度(凝固開始温度)を測定し、それぞれの温度から固相線と液相線をもとめて、状態図を作成した。 一方、Na_2O・2B_2O_3ーFe_2O_32元系試料は、加熱溶融時において揮発性が高いため、密閉しない上部開放白金るつぼに入れた試料と、密閉した白金るつぼに封入した試料について示差熱測定を行い、それぞれで得られた状態図を比較検討した。また、両試料の溶融後の組成変化をX線回折による同定によって調べた。その結果、(1):Na_2O・2B_2O_3は開放るつぼのような開いた系で1200℃まで加熱溶融すると、Na_2OとB_2O_32に分解揮発して系外に去るが、密閉るつぼではその揮発を抑制する。 (2):Na_2O・2B_2O_3ーFe_2O_3系試料では、Fe_2O_3が10%〜20%配合ではNa_2O・2B_2O_3の分解揮発を抑制するが、それ以上ではFe_2O_3が増すにつれて分解揮発を抑制する。 (3):Na_2・2B_2O_3ーFe_2O_3元系状態図は密閉るつぼを用いて測定し、作成したほうがより正確な結果が得られる。 (4):密閉るつぼを用いて測定し、作成したNa_2O・2B_2O_3ーFe_2O_32元系状態図は、単純共晶型で、共晶温度は 694℃、共晶点組成はFe_2O_313.5%である。(5):本実験で作成した状態図から、各Fe_2O_3配合量におけるヘマタイト結晶の収率を熱平衡的に試算すると、たとえば50%Fe_2O_3配合量の場合、収率は72%であることが分かった。平成1年度〜2年度で行った各種鉄鉱石から実験で得られたヘマタイト結晶の収率は約84%であり、状態図から熱平衡的に求めた試算値より10%程度高いことがわかった。この理由は、Na_2O・2B_2O_3ーFe_2O_3混合物が溶融後冷却凝固するとき過冷がおこり、Fe_2O_3が過剰にとけ込んだまま共晶温度以下になってはじめて晶析するを認めた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田口 昇,大友 崇穂: "亜鉛浸出残渣脱鉄処理で得られる酸化鉄の高純度化 ーほう酸系フラックス溶融法により高純度酸化鉄の製造ー" 資源・素材学会東北支部平成元年度秋季大学大会 研究発表講演会講演要旨集. 13 (1989)
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[Publications] 田口 昇,大友 崇穂: "亜鉛浸出残渣脱鉄処理で得られる酸化鉄の高純度化 ーほう酸系フラックス溶融法により高純度酸化鉄の製造ー" 資源・素材学会東北支部平成2年度秋季大学大学 研究発表講演会講演要旨集. 18 (1990)
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[Publications] 大友 崇穂,田口 昇: "亜鉛浸出残渣脱鉄処理で得られる酸化鉄の高純度酸化鉄の製造 ーほう酸系フラックス溶融法により高純度酸化鉄の製造Iー" 資源と素材. 107. 995-998 (1991)
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[Publications] 田口 昇,大友 崇穂: "各種銘柄鉄鉱石からの高純度化 ーほう酸系フラックス溶融法により高純度酸化鉄の製造IIー" 資源と素材. (1992)
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[Publications] 田口 昇,大友 崇穂: "Na_2O・2B_2O_3ーFe_2O_3系状態図の作成 ーほう酸系フラックス溶融法による高純度酸化鉄の製造IIIー" 資源と素材. (1992)