1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550522
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福島 久哲 九州大学, 工学部, 教授 (50038113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 徹也 九州大学, 工学部, 助教授 (10136517)
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Keywords | 電気めっき / 合金電析 / 鉄ーニッケル合金 / 異常型共析 / 共析機構 / 組成変動 / 磁場印加 |
Research Abstract |
前年度の結果から,FeーNi異常型共析機構としてFe(II)の水酸化物による水酸化物抑制説およびNiの本来有する析出過電圧で電析挙動をすべて説明することは無理であるように思われた。そこで,本年度においてはまず,最近提唱されたFe(III)の水酸化物によるNi放電の抑制の可能性について検討した。しかしながら,浴中のFe^<3+>イオン濃度を種々変化させてもNiのみならずFeの部分分極曲線も全く変化なく,したがってFe(III)の水酸化物生成に基づく異常型共析機構も否定された。次に,合金化による合金中のFeの活量低下に基づく復極の可能性について検討した。その結果,FeーNi電析合金は安定な金属間化合物は形成しておらず,単にNiおよびFe側の固溶体より成る組織を示すことがわかった。同様により貴な金属との組み合わせであるCuーFe合金電析においてFeの大きな復極が認められ,またCuーFe電析合金も単に固溶体を形成していることから,FeーNi合金においても合金化によりある程度の活量の低下の結果Feの復極が起こり,これが異常性出現に関与していることも考えられた。しかしながら,合金のFe含有率が高い異常型共析領域においても依然としてFeの復極が起こっており,その現象を合金化による活量低下のみで説明するのは困難であった。 次に,前年度に引き続きEPMAおよびIMAを用い電析合金の厚さ方向の組成変動を調べた。その結果陰極素地ー電析合金界面側でより貴なNiの含有率が高く,電析物表面でFeの含有率が高くなる現象が認められた。後者に関しては電析合金中のFeの優先酸化によるものと考えられ,一方電解初期のNiの偏析は水酸化物抑制説に基づいた異常型共析機構を採用することにより説明可能であることがわかった。 最後に,FeーNi合金電析及ぼす磁場印加の影響について考察した。その結果,磁場印加がNi単独電析および合金電析の分極曲線を分極する方向に作用し,さらに得られた電析物の磁気特性にも影響を及ぼすことがわかった。
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