1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550524
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 崇 九州工業大学, 工学部, 助教授 (20112360)
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Keywords | Surface Tension / Interfacial Tension / KOH Solution / Hg / Wetability |
Research Abstract |
アルカリ-マンガン乾電池の負極活物質であるZnに添加するHgの役割を、Zn上におけるHgの濡れという立場から検討を行う基礎研究として、KOH水溶液の表面張力、Hg-KOH間の界面張力を測定した。 KOH水溶液の表面張力は、KOH濃度が高くなるにつれ大きくなり、電池に使用されている40mass%KOH水溶液になると約100mN/mの値を示した。また同一濃度で温度の影響をみるといずれの組成でも高温になる程表面張力が低下し、純物質の表面張力と同じ傾向となった。ただしその温度勾配は大きくないことがわかった。表面張力は僅かな添加剤でも大きく変化することがあるのでKOH水溶液とHgを平衡させ、数ppmのHgを溶解したKOH水溶液の表面張力も測定したが、純粋なKOH水溶液の結果とほとんど変わらなかった。 Hg-KOH水溶液間の界面張力は静滴法により測定された。KOH濃度を一定とし温度の影響を見ると測定温度範囲では、誤差の範囲で温度依存性が認められなかった。一定温度ではKOH濃度が高くなると界面張力値も大きくなる傾向を示したが、その組成依存性は大きくなかった。 KOH水溶液の表面張力、KOH水溶液-Hg間の界面張力を用い、Hg上のKOH水溶液の拡張係数を次の(1)式から求めた。 S_<Hg-KOH>=γ_<Hg>-γ_<KOH>-γ_<KOH/Hg> (1)γ_<Hg>:Hgの表面張力 γ_<KOH>:KOHの表面張力 γ_<HgーKOH>:HgーKOH水溶液間の界面張力 その結果、測定組成・温度範囲でいずれも正の値となりKOH水溶液はHg上でよく濡れ、拡がることがわかった。KOH水溶液は金属Znとは濡れ性が悪いが、表面にHgがあるとKOH水溶液が良く濡れ、電極反応をスム-スに進行させ、Hgが部分的にZn上にない所ではKOH水溶液が濡れにくくまた、Hgの水素過電圧増大効果もないので局部的にZnの腐食が進行することがわかった。
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