1989 Fiscal Year Annual Research Report
亜硫酸ガス吹込みによるマンガンノジュ-ルの選択浸出に関する研究
Project/Area Number |
01550525
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河原 正泰 熊本大学, 工学部, 助教授 (60145282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満尾 利晴 熊本大学, 工学部, 教授 (80166058)
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Keywords | マンガンノジュ-ル / 亜硫酸ガス / 選択浸出 / ニッケル製錬 / コバルト製錬 / 還元浸出 |
Research Abstract |
アンモニア-炭酸アンモニウム混合水溶液を溶媒とし、これに亜硫酸ガスを吹き込んでマンガンノジュ-ルを還元浸出すると、マンガンノジュ-ル中のニッケル、コバルト、銅を選択的に抽出することができた。また、浸出温度の上昇により選択性は向上した。このとき、ニッケル、コバルト、銅はいずれもアンミン錯イオンとして溶液中に溶解し、マンガンは炭酸塩として、鉄は水酸化物としてそれぞれ沈澱していた。溶液中に吹き込まれた亜硫酸ガスは亜硫酸イオンに解離し、これがマンガンノジュ-ルの骨格を成す二酸化マンガン相を還元破壊し、ニッケル、コバルト、銅は共存するアンモニウムイオンと錯イオンを形成して溶解する。一方、マンガンは炭酸イオンと反応して炭酸マンガンとなり、鉄はpHの関係で水酸化物になって沈澱すると推察された。 溶媒としてアルカリ性水溶液を用いた場合は純水を溶媒として用いた場合と比較し、ニッケル、コバルト、銅に関して同じ浸出率を得るために必要な亜硫酸ガスの吹き込み量は多大なものであった。ただし、選択性を得るためには液性を常にpH=7以上のアルカリ性に保っておく必要があり、炭酸アンモニウムはこのための緩衝剤として有効に作用していることが明かとなった。また、炭酸アンモニウムの濃度を増加させるとマンガンの炭酸塩としての沈澱量が増加し、炭酸アンモニウムはマンガンの沈澱剤として働いていることも明かであった。 本法の最適条件においては、ニッケル、コバルト、銅の浸出率はいずれも95%以上、マンガンの浸出率は5%未満、鉄の浸出率は3%未満という良好な選択浸出結果が得られ、本法はマンガンノジュ-ルの処理法として極めて有望であると考えられる。
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