1989 Fiscal Year Annual Research Report
急冷凝固法によるマグネシウム合金粉末冶金材料に関する研究
Project/Area Number |
01550539
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
金子 純一 日本大学, 生産工学部, 教授 (00120410)
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Keywords | マグネシウム合金 / 急冷凝固 / 粉末冶金 / 比強度 / 時効硬化 |
Research Abstract |
急冷凝固法の適用により、マグネシウム基材料の性能向上を図ることを目的として、AZ91合金(Mg-9.2Al-0.7Zn)にSi(2%)、Ni(5%)、Ce(5%)などを添加した合金について、噴霧ロ-ル法により急冷凝固フレ-クを作製し、これを固化成形したP/M材の材料評価を行った。 得られたフレ-クは、直径約5mmで厚さ30〜200μmであり、微細なデンドライトセル組織を呈し、10^5K/Sのオ-ダ-の冷却速度と見積もられた。フレ-クの硬さはSi添加合金が最も高く、Ni及びCe添加合金は無添加のAZ91合金とほぼ同じレベルであった。 急冷凝固フレ-クを冷間プレス後、633kでの熱間押出によりφ7mmのP/M材とした。これを693Kで溶体化水焼入れし、433Kで等温時効して時効硬化挙動をしらべた。その結果、Si添加合金が最も高いピ-ク硬度を示し、Ni及びCe添加合金は時効硬化をほとんど示さなかった。Si添加合金でもAZ91合金に比べると時効硬化量の低下が認められた。 P/M材の常温での引張強さに関しては、Si添加合金のF材で371MPa、T6材で358MPaと高い値を示したが、伸びは2%以下と低下した。溶体化処理による焼鈍軟化が時効硬化より大きいため、F材の方がT6材より高強度となった。無添加のAZ91合金でも、P/M材はI/M材に比べて高い強度を示しており、急冷凝固が高強度化に効果があることが示された。473、573での引張強さは、すべての合金でT6材がF材を上回った。伸びは引張温度とともに上昇したが、とくにAZ91合金P/M材では573Kにおいて400%を越える高い伸びを示し、他の合金でも100%を越える値を示した。400%を越える伸びは超塑性発現を意味しており、一般的に塑性加工性に難があると言われているマグネシウム合金において、このような高い延性が得られたことは注目に値しよう。
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