1989 Fiscal Year Annual Research Report
先端金属間化合物の電子構造の計算とそれに基づく延性改善のための材料設計
Project/Area Number |
01550548
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
森永 正彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 裕彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (60029105)
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Keywords | 金属間化合物 / 機械的性質 / 電子構造 |
Research Abstract |
近年、新しい高温用材料として、金属間化合物への期待が高まっている。しかしながらセラミックスと同様、延性に乏しい点が、実用上の大きな障害となっている。このため、その延性改善が強く望まれている。 本研究では、金属間化合物の電子構造と機械的性質の関係を主に調べた。一見、無関係に思えるこれらは、電子間の結合という点でつながっている。例えば、せん断変形を考えると、変形により元の原子間の結合は切れ、新しい結合が生まれる。このときの変形の抵抗がいわゆるパイエルス応力である。 平成元年度は、これまでもっぱら転位論で取り扱われてきた機械的性質に、電子論の新しい見方を導入するための基礎研究を行った。具体的には、最近盛んに研究されている金属間化合物TiALの電子構造を、分子軌道計算法(DVーXαークラスタ-法)を用いて計算した。そして、方向性のあるAl ρーTid電子間の結合が大きく、これがパイエルス応力を高めていることを指摘した。その結果、TiAlはすべり変形が難しく、脆性的な破壊に至るのかもしれない。第3元素添加による延性改善の方法として、このAl ρーTid結合を弱めることが第一であり、そのためには、Al原子を遷移金属(V、Mnなど)で置換することが良いことを、初めて計算により明らかにした。 この他、将来の超高温耐熱材料として考えられているNb_3AlとMoSi_2の電子構造の計算を完了させた。特に、Nb_3Alについては、その中の合金元素の電子状態を系統的に計算し、合金効果を見積もることができた。 これら成果を基にして、平成2年度は、金属間化合物の変形過程の電子構造を計算するとともに、延性改善のための材料設計に積極的に取り組む予定である。
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[Publications] M.Morinaga: "Electronic Effect on the Ductility of Alloyed TiAl Compound" Acta Metall.Mater. 38. 25-29 (1990)
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[Publications] 森永正彦: "アルミニウムおよびチタンアルミナイド中の合金元素の電子状態と材料特性" 軽金属. 40. 56-63 (1990)